睡眠改善素材「キンネムエキス」拡販へ 龍榮総研(2014.10.23)
和漢理論「方材ピラミッド」を活用した独自性の高い健食原料の開発、OEM提案を進める㈱龍榮総研(東京都三鷹市)は、8月から原料供給を開始した金針菜とネムノキの花混合エキス「キンネムエキス」の提案を本格化させる。これまでOEMで採用実績を伸ばしてきた同素材だが、睡眠改善を促す市場ニーズの追い風を受け引き合いも増えている。また大手化粧品メーカーのハーブティーへの導入も決まるなど、拡大基調にある同市場への提案を加速させ、シェア拡大を図る。
同社では、金針菜のみを主原料とした最終商品「金針菜一番」(1997年発売、現在は終売)の販売後に、「不眠状態は単に安眠をもたらすだけでは不十分。それに関わる不安や焦燥などを取り除くことが重要」(高橋龍榮社長)とし、金針菜が持つ機能性を相乗させるネムノキの花を混合させた最終商品「ネムナール」を2004年に上市し、同時にOEM供給も手掛けてきた。
ただ当時は、睡眠を改善する商材は寝具やアロマなどの健康グッズなどが市場では大半で、食品摂取による不眠解消の需要は大きくはなかった。数年前よりグリシンやラフマ、セントジョーンズワートなどの各種素材を用いた最終商品が大手主導によるプロモーションが奏功し、潜在していた需要が浮上、市場を切り拓いた。
「市販に流通する睡眠を促す素材には、眠りを深くすることで成長ホルモンの分泌を高めますが、当社のキンネムエキスは脳を活性化させることで安眠を促し、美容にもつなげることのできる差別化素材として商品に活用できます」といい、睡眠を多方面からアプローチできる素材の特性を活かし採用につなげる方針だ。
同エキスに利用している金針菜にはトリプトファンやフェニアルニンなどのアミノ酸類をはじめ、フラボノイド類を含有する。同素材については、徳島文理大による動物実験で、ストレスによる自律神経への悪影響を抑える効果や軽い抗うつ作用への示唆、北海道医療大の実験では生体リズムを調整する作用があると報告されている。これら研究機関からの試験結果から、「金針菜にはメラトニン様物質が含まれ、松果体からのメラトニン分泌を促す」と同社は推測している。
またネムノキの花は、「合歓花(ごうかんか)」とも呼ばれ、古くから抗うつや精神安定作用、入眠作用が知られている。含有成分としては、精神を安定させる働きを持つGABAやグルタミン酸などがある。
それら機能成分含有をもとに独自の和漢理論「方材ピラミッド」で絶妙に組み合わせた同エキスの機能性データも充実している。同社ではキンネムエキスをラットに摂取させた抗うつ作用に関する実験を実施。ラットを回避できない状況下で強制的に遊泳させることでうつ状態とさせ、その不動時間の長短で抗うつ作用の有無を調べた。通常餌のラット群と、キンネムエキスを混ぜた餌を7日間摂取させたラット群に分け、その10日後に5分、10分、15分間強制遊泳させたところ、15分間強制遊泳において、キンネムエキス摂取群での抗うつ作用が確認できた。
【写真は金針菜(左)とネムノキの花】