パートナー企業をサポート アーカーバイオマリン(2014.10.23)
機能性表示が可能な成分として期待感の高いDHAやEPAを含むクリルオイル。原料市場を押さえているのは海外企業だが、この日本の新しい動きにどう対応するのか。ノルウェーのクリルオイル原料販売大手アーカー・バイオマリン・アンタークティックSVP兼アジア営業統括のクリス・マックレイノルズ氏(=写真)に、現在の市場動向を踏まえながら話を聞いた。(聞き手=本紙記者・石川太郎)
──世界のクリルオイル市場の概観について。
具体的な販売量は申し上げられないが、アーカーバイオマリンの「スパーバ」(クリルオイル原料名)が世界最大のシェアを誇る。これまで米国と豪州で非常に力強い形で伸びてきた。ただ、そのぶん今後の伸びも鈍化すると予想している。一方で、欧州とアジアで伸びを見せている。
アジアで最も注目しているのは中国だ。東南アジアでも、健康意識が高まり、サプリメントの活用がファッショナブルに受け止められている。魚を食べる習慣があり、オメガ3の重要性を理解している高齢者層を多く抱える日本市場にもチャンスがある。
──日本でも機能性表示が可能になります。感想を聞かせて下さい。
非常にエキサイティングだ。初期段階では100%完成したものとはならないだろうが、まずはスタートさせなければ改善していく機会も生まれない。いろいろな課題が出ると思うが、それを解決するための話し合いの場が提供されることが望ましい。そうしたことを話し合うフォーマルな場がこれまで日本にはなかったのではないか。
日本のパートナー企業には日本でのクリルオイル市場の拡大に大変尽力してもらっている。その中で新しい表示ルールは、これまでに行ってもらった投資へのリターンにつながると考えている。クリルオイルで機能性表示を行えるよう、しっかりサポートしていく。
──どのようなサポートを行っていくのでしょうか。
二つの側面があると思う。一つは既存パートナー企業をサポートするためのリサーチを行うこと。もう一つはさらに市場を広げるためのリサーチを行うことだ。現段階で詳しい話をすることは勘弁してもらいたい。
いずれにしても、アーカーバイオマリンは過去十数年にわたり臨床研究などを通じたデータ収集を行ってきた。これを今後も継続していく。特に、日本で研究を進めたいと考えている。新しい表示規制はビジネスチャンスであると同時に、企業がサイエンティフィックな製品開発を進める後押しにもなる。それは当社にとっても同様で、日本人に対するクリルオイルのベネフィットをより理解することにつなげたい。
──「スパーバ」で可能と考えられる機能性表示について。
さまざまな可能性があると思う。当社が世界に伝えているのは、「スパーバ」は心臓、脳、関節の健康をはじめ、女性のために健康などに良いということだ。女性に対してはPMS(月経前症候群)に対する作用が分かっている。いずれもこれまでの研究成果に基づくものだ。こうした、これまでに積み上げてきたデータをベースにしながら日本のマーケットに適した表示を探っていく。
──アーカーバイオマリンはこのほど、スイスの企業と連携し、「スパーバ」を配合したグミ型サプリメントを開発しました。どのような狙いでしょうか。
食事を通じてオメガ3脂肪酸を摂取する生活習慣が確立していない若年層にどうリーチするかが重要だと考えている。若年層を取り込むことでチャンスはより広がる。最終的にはカプセルで摂取してもらいたいが、若年層はカプセルに抵抗感を抱いているかも知れない。1日2粒食べればオメガ3脂肪酸を一定量摂取できるようにするとともに、臭いや味の課題も解決したこの新商品で、若年層にリーチしていく。