オメガ3が「目の乾燥」にも有効 メタ分析も示す(2014.11.6)


 DHAやEPAは「目の乾燥」に対する機能性も期待できる──先月23日に都内で開催されたEPA・DHA協議会主催講演会の中で、日本水産の辻智子・生活機能科学研究所所長がこんな報告を行った。涙の分泌量が減ったりすることで目が乾燥したりするドライアイの緩和に有効性を示す臨床試験論文が、これまでに複数発表されているという。

 今年9月にはメタアナリシス論文も発表された。オメガ3系脂肪酸摂取によるドライアイ改善作用を検証した臨床試験(RCT)論文7報を解析したもの。自覚症状には変化が見られなかったものの、涙液分泌量の変化を調べるシルマーテストや、目の表面を覆う涙の安定性を評価するBUT検査に関して有効性を結論づけた。

 このメタ分析には、日水が13年に発表した論文も含まれる。同社では麻布大・守口徹研究室に委託して動物試験も実施。オメガ3を欠乏させたドライアイのマウスにEPAを与えると、油を分泌することで眼表面から涙液で蒸発するのを防ぐ機能があるマイボーム腺や涙腺に含まれるEPAを増やし、正常マウスと同程度まで涙の量を回復させる働きを確認した。

 日水は、メタ分析を独自に実施してもいる。先のメタ分析論文からEPA・DHA以外のオメガ3を試験食とした論文を除外し、今年発表されたばかりの被験者200名以上の大規模臨床試験論文を追加。加えてDHAよりもEPAの投与量が多い論文計4報で評価した。

 辻所長によれば、その結果、各論文共通で評価項目としていたシルマーテストとBUT検査でEPA・DHA投与群に有効性が認められた。自覚症状については評価方法が異なるため正確な解析は出来なかったが、各論文の結果は有意な改善だったという。

 オメガ3摂取に伴うドライアイ改善機能を検証する臨床試験は05年以降、海外で活発化。約3万2000人の女性を対象に、多・価不飽和脂肪酸(オメガ3、6)の摂取量とドライアイ発症率を調べる疫学調査結果が契機となった。この調査では「オメガ3の摂取量が多いほど、ドライアイ発症率が低いことが示されている」(辻所長)。

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