機能性表示〝使いやすいものに〟 森下竜一氏が講演(2014.11.6)
内閣府規制改革会議の森下竜一委員(大阪大学教授)は10月23日、薬業健康食品研究会主催の勉強会で講演し、同会議が提案した食品の機能性表示制度について「八合目まで行った。思ったより産業界に使いやすいものになるのではないか」との手応えを伝えた。ただ、積み残した課題もあるため、引き続き同会議の健康・医療ワーキンググループ(WG)で議論する考えを伝えたほか、産業界に対しガイドライン策定に向け、消費者庁と議論を詰めるよう求めた。
WGでは同制度を重点的フォローアップ事項とし、同月17日に同庁から対応方針や考え方についてのヒアリングと意見交換を行っている。
森下氏はこのWGの中で、機能性の根拠論文に病者対象の論文を含めるか否か議論した点に触れ、「同庁は健康な人や境界域までとし、病者の論文は除くと頑なだが、そもそも病者の定義がはっきりしない。境界域と言っているのもトクホだけ」と語り、病者対象の論文も含めるよう求めていることを明かした。
また、同制度では事前届出制を採用し、届出後、受理番号の交付から60日後の販売を認める考えを同庁は伝えているが、「同庁のチェックは疾病名の表示がないなど形式的なもの。開始当初は難しいが、行く行くは当日交付もあり得る」と語った。
さらに、機能性の具体的表現については、ガイドラインで一部例示される可能性を示唆したが、「ポジティブリストにはならない。表現はあくまで企業の自己責任」と語る一方、「基本は自由ということ。色々な表現ができるのではないか」とも語った。これについては産業界と同庁で表示可能な表現を詰めて欲しいとも述べた。
今後の検討課題となっているビタミンやミネラルなどの栄養成分や、成分が特定できないエキスなどの取扱いについては「早急に検討するよう(同庁に)伝えている」と語った。特にエキスは「漢方のように丸ごと規格化する方法もある」と語った。
【写真は講演する森下竜一大阪大学教授。10月23日東京・新宿区】