オムニカ、新制度対応で先行 自社原料で試験実施(2014.11.20)
㈱オムニカの高尾久貴社長は健康産業流通新聞とのインタビューで、原料販売している複数の天然由来機能性食品素材について、システマティックレビューした結果の再現性や日本人への外挿性を評価する目的で、「国内で臨床試験を実施している」と話した。食品の機能性表示制度施行前に、査読付き論文も投稿する。
査読付き論文投稿新制度施行までに
制度スタートまでに査読付き論文投稿を予定しているのは、ビルベリーエキス、Sアデノシルメチオニン含有酵母、天種野生高麗人参(百歳山参)、ルテイン、クルクミンなどで、いずれも被験者は日本人。検証試験はすべてコンソルト声明に則したデザインで実施している。
また、一つの素材で複数の臨床試験を実施。「今後投稿する査読付き論文も一つではない。機能性表示を行うために十分量(の論文)をそろえたい」と言う。
これら素材について同社は、これまでに海外を中心とする他の研究グループが発表してきた収集可能データと、同社発表データを網羅する形で機能性などを評価。その結果、「肯定的傾向を示している」と判断できるものについて、評価結果の再現性と、日本人への外挿可能性を検証するための臨床試験の実施を決めた。すでに一部の試験は完了させている。
同社はほかにも機能性表示が十分可能と見られる素材を複数取り扱うが、新制度への対応を急ぐものと、制度スタート後に対応準備を順次進めるものの2つに大別。臨床試験を実施しているのは前者に属す素材群で、「現時点で市場に多く流通されていて当社として販売会社や消費者に多大な責任を負っているもの」から選定した。「(新制度に対応できないことで)いま現在の活動の足手まといにならないようにしたい」。
文献評価の上で臨床〝同等性〟重視の姿勢
文献評価以外に、多大な費用を投じて自社製品の臨床評価を行う理由について高尾社長は、「(広告宣伝について)現状許されていることが(新制度施行後は)許されなくなる可能性があることを前提に、現状でやれる以上のことをできるようにする」目的もあると述べた。保健機能食品の新カテゴリーとして機能性表示を行えるようにするのだけが目的ではなく、その素材で評価された機能性に関する具体的なエビデンスを含めた広範な情報を、販売会社による広告宣伝なども通じ、消費者と共有できるようにしたい考えだ。
一方で、同社が今後発表する査読付き論文で肯定的結果が報告されれば、他社が行うシステマティックレビューに資する可能性もある。これについては「研究されたものとの同等性が認められるものならば、当社のもの以外でも支援していきたい」と述べた。
「機能性食品成分、特に天然成分を基原とする場合は、名称や名目規格が同じという理由だけで、研究結果を裏付けた化合物群のパターンまで同一ではないことが指摘されている」と高尾社長。そのため同社では、機能性表示制度への対応に当たり、システマティックレビューなどでの機能性評価結果の再現性=同等性を重視する方針を鮮明にさせている。