消費者目線での対応求める 阿南・前消費者庁長官(2014.11.20)
前消費者庁長官の阿南久氏は11日、医療経済研究・社会保険福祉協会の創立50周年記念講演会で、「新しい機能性表示制度の課題~消費者利用の観点から~」をテーマに講演を行い、消費者が主役の社会へと転換しつつあり、企業に消費者目線での商品開発や誤認を招かない情報開示など行うよう求めた。
阿南氏は同庁の新制度検討を振り返り「(消費者団体などの)批判的な意見が多く、庁内部でも様々に検討し、大変な作業だった」と吐露。そのうえで「玉石混交の状態に比べれば、規制の網を広げるという意味で少しは消費者の役に立つ」と語り、新制度に理解を求めた。
一方、新制度の運用にあたっては、消費者の安全確保を最優先に挙げ、危険な商品の流通防止のため、消費者への注意喚起、回収・販売禁止措置を、厚生労働省など関係省庁が一体となって策を講じるよう求めた。さらに、制度を活用せずに機能性などの広告を行う健康食品に対しては、景品表示法など関係法令による監視や規制の強化も必要だと語った。
企業には消費者相談受付などを通じ「消費者の要望や苦情を製品改善や新製品開発に結び付けて欲しい」と、消費者志向の経営を求めた。そのための社内規則や苦情対応部門の整備といった土台構築、消費者との信頼関係構築のため、積極的な情報開示、消費者事故への迅速対応が必要とも語った。
さらに、健康食品の団体に対しても「消費者や消費者団体からの忌憚のない意見を聞く場を設けることが有効」だと語り、消費者とのコミュニケーションの充実・強化を図るよう求めた。