改正景表法12月1日施行 事業者に体制整備求める(2014.11.20)
都道府県への措置命令権の付与や、事業者に対し一般消費者向けの表示等に関する管理措置を義務付ける、改正景品表示法が12月1日に施行される。昨年相次いだホテルやレストランのメニュー表示偽装を受け、行政の監視体制の強化と事業者にコンプライアンスの確立に重点を置く。既に社内に担当部署などを配置している事業者は影響が限られるが、同法はさらに課徴金制度の導入に向けた法改正が進められており、一層厳格な管理体制が求められる。
今回の改正景表法のポイントは、大きく、行政の監視体制強化、事業者の表示管理体制の強化、課徴金制度導入に係る検討の3点ある。行政の監視体制は消費者庁を中心とする関係省庁連携による監視指導体制の強化と、都道府県に措置命令権や事業者に表示の合理的根拠の提出を要求する権限を付与する。省庁や地方との連携により、問題事案に迅速かつ的確に対処する狙いがある。
一方、事業者には主にコンプライアンスの確立を求める。同庁が14日に公表した指針(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針)では、対象となる事業者の範囲、規模や業態などの違いについて考え方を示したほか、事業者が講ずべき表示等の管理上の措置について具体例とともに挙げた。
この管理上の措置については①景品表示法の考え方の周知・啓発②法令遵守の方針等の明確化③表示等に関する情報の確認④表示等に関する情報の共有⑤表示等を管理するための担当者等を定めること⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応――の7点を挙げている。特に、社内で表示等に関する事項を適正に管理する担当者や担当部門(表示等管理担当者)を定め、表示などの監視や監督権限などを持たせるよう求めた。大手など以前から対応しているところも多いとみられるが、個人事業者や小規模事業者には新たな負担になりかねない。ただ、指針では代表者が表示を把握している場合はそれで足りるとするなど、一定の配慮もされている。
このほか、事業者に求める具体的事例のなかでは、関係従業員に対する景表法の周知、法令順守のための社内規定等の整備、関連部門との情報共有や表示に係る資料の保管なども求めた。表示等管理担当者については、担当部門を指定する場合と、表示の内容や商品カテゴリーごとに担当者を指定する場合に分けて例示した。
なお、対象の事業者は、一般消費者向けの表示を行う事業者とした。これら事業者と取引関係はあるが、表示等は行っていない事業者には措置を求めない。一般消費者に表示を行っていない広告媒体事業者については、商品や役務を一般消費者に供給している他の事業者と共同で供給していると認められる場合は対象になるとした。