特別用途食品の規制見直し議論開始 規制改革会議(2015.2.12)


 規制改革会議健康・医療ワーキンググループは2日、特別用途食品の申請手続き、表示の見直しについて議論を開始した。見直しの方向性は、特別用途食品のうち、低タンパク質食品、総合栄養食品、えん下困難者用食品の主に3つに関し、許可基準の明確化、審査体制の整備による審査期間の短縮化、利用者に分かりやすい表示制度にすること。今後、月に2回程度の頻度で議論を進め、今年6月までに取りまとめる予定の答申に盛り込む方針だ。

とろみ調整食も対象へ

 この規制改革を要望したのは、医療用途食品メーカー22社加盟の日本メディカルニュートリション協議会、濃厚流動食メーカー23社加盟の日本流動食協会。現状では特別用途食に位置付けられていない一方で、「全国の医療・福祉施設の97%で利用されている」とろみ調整食品を、許可基準型の特別用途食に加えることも求めている。

 2日の会合では、特別用途食の所管庁の消費者庁も交えて議論。規制改革推進室によれば、許可基準の明確化と審査体制の整備が特に議論となり、消費者庁は前向きに検討する考えを示した。制度の幅の拡大を検討することに関しても、同様の姿勢を見せたという。

 特別用途食の許可件数は55品目(14年4月21日現在)。このうち、今回改革が要望された3食品は計24品目、総合栄養食品については1品目にとどまる。

 同協議会らの調べによると、同3食品に適用可能とみられる医療用途食品は市場に3000品目近く存在。同食品全体の市場規模は推定1520億円と、年率5%増前後で拡大している。

 一方で、「審査に時間がかかる」「審査基準がわかりにくい」「医療、介護現場に則した表示が出来ない」「現行の許可基準に合致しない」などを理由に、特別用途食として許可申請する事業者は限定的であり、「制度が利用できていない」のが現状だという。「(業界の)要望が反映されれば、(制度の利用に向けて)業界全体で相当ドライブがかかることになると思う」と規制改革推進室は話している。

輸出産業に育成も狙い

 特別用途食品は乳児の発育をはじめ妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などに対する健康保持・回復などに適する旨の表示を行える食品。いわゆる医療用途食品や濃厚流動食品が役割としては相当するが、特定保健用食品と同様、表示するには消費者庁長官の許可が必要となる。

 トクホ許可件数が1000品目超であるのに対して特別用途食は60品目弱と顕著に少ない。背景には、医療用途食などは病院や特別養護老人ホームなどを対象にした事業者間取引きが大半であり、表示が無くても不都合は生じないという事情もある。そのため、医療用途食は医療・介護関連施設での利用が進んでいる反面、「特別用途食は優先的に利用されていない」のが現状だ。

 一方で、厚生労働省は在宅医療・介護を推進している。今後、一般消費者が医療用途食などの商品選択を行う場面が増える可能性が高いと考えられる。その中で、特別用途食を巡る規制改革の狙いには、「制度を上手く活用し消費者が(商品を)選びやすい環境づくりを行いたい」(規制改革推進室)考えがある。

 将来的に輸出産業として育成したい狙いもある。今回の規制改革を要望した日本メディカルニュートリション協議会らは、「本格的な高齢化社会を迎えている日本で開発された」医療用途食を特別用途食として規準化すれば、「世界的なデファクトスタンダードの確立と海外展開の可能性が開ける」と訴えている。

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