アリババ集団の越境ECサイトにMARUEIが出店(2015.2.26)


 中国電子商取引最大手のアリババ集団が運営するインターネット通販サイトに、健康食品原料輸入販売の㈱MARUEIグループ(東京都千代田区)が出店した。関係会社を通じ、日本、中国で小売り・卸販売している健康食品を中心とした12品目の販売を9日から開始。今後、日本国内の健康食品・化粧品販売会社からも商品を募り、年内に販売品目を100アイテムまで増やす。

 MARUEIが出店したのはアリババ集団が一昨年に立ち上げた「天猫国際」(Tモール・グローバル)。出店サイトの運営管理は中国・成都市(四川省)にある子会社が担当する。これにより、越境電子商取引で課題となる、購入者からの問い合わせ対応などアフターフォローを、現地スタッフが行えるようにした。

 アリババ集団が運営する主要ECサイトは現在3つ。中国国内個人事業主が出店対象のオークションサイト「タオバオ」、中国国内企業を対象にしたBtoCサイト「天猫」(Tモール)に対し、天猫国際の出店対象は海外企業に限られる。

 中国政府の統計によると、中国ネット通販市場規模は2013年の時点で30兆円を超える。このうちおよそ8割のシェアを握るとされるのがアリババ集団。登録会員数は7億人とも言われる。天猫国際は、タオバオで海外有名ブランドの模倣品や粗悪品の販売が相次ぐなか、中国国内の海外輸入品愛好者を取り込む目的でつくられたという話もあり、日本のヘルスケア関連企業ではケンコーコム、キリン堂などが出店している。

 天猫国際に出店するには保証金2.5万㌦のほかに年間固定費用1万㌦も必要と安くない。それでもMARUEIが出店を決めたのは、関係会社の丸栄バイオファーマが販売し、中国でも人気商品化している「2H&2D」シリーズの拡販が狙えるためだ。また、出店サイトを活用することで、日本製健康食品・化粧品の販売支援事業も展開できると見ている。

 「天猫国際は海外で販売されている商品を中国国内で手軽に購入できる仕組み。日本製品の品質の高さは中国でも浸透しており、日本の出店企業の売れ行きもよいと聞いている。最近中国からの来日客が増え、ドラッグストアや免税店などで健康食品を多く購入しているが、中国に戻っても欲しがるはず。特にダイエット系健康食品が期待できる」とMARUEIの金洪梅課長は話す。

 天猫国際を通じて日本の商品を販売するメリットは中国の規制の影響を受けないことだ。「例えば化粧品を中国に輸出する際に必要な『CFDA』などの手続きは不要」(金課長)。輸出ではなく個人輸入に位置付けられているからだという。

 MARUEIが検討している天猫国際を利用した販売支援事業のスキームは、支援先企業の商品をMARUEIの出店サイトに代理出店し、商品掲載から発送、代金受け取り、顧客のアフターサポートまで全ての必要業務を代行するというもの。商品発送は日本から行い、売上代金も日本円で支払う。

 「高額な出店費用と煩雑な手続きの必要がなくなる。なにより顧客サポートを現地スタッフに任せられることが強み」だと金課長。中国では法規制が目まぐるしく変わっており、個人輸入を巡る規制の動きを注視する必要がありそうだが、リピート購入を増やす販促技術を伴えば、中国市場開拓の有力な足掛かりとなる可能性がある。

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