生産、物流に加え「見せる」機能 山田養蜂場新工場 (2015.2.26)
㈱山田養蜂場(岡山県苫田郡鏡野町)が約60億円を投じて岡山県津山市内に建設を進めていた新工場が完成し、取引先や地元行政機関関係者など約300人を集めて竣工式と工場内覧会を18日、開催した。
県北部の津山産業・流通センター内に建設した新工場「山田養蜂場 第一工場」は、敷地面積約6万平方㍍、延床面積は約233万平方㍍で、製造機能と物流機能を兼ね備えたもの。2階には製造工程を見学できる通路を設置しており、「見せる」機能も併せ持つ。内覧会では、各生産エリア、フルオートメーション倉庫、出荷作業エリア、品質管理エリアなど、工場内部を公開した。
新工場で生産するのは、ハチミツ・ハチミツ加工食品、健康食品、化粧品の主に3つで、本社工場で行っていた生産はすべて新工場に移転するという。これにより生産能力が拡大。加工・充填を自動化したハチミツ及びハチミツ加工食品は従来比3倍、打錠品を中心に生産し、フリーズドライ設備を新たに導入した健康食品は同3.5倍を見込む。化粧品については石けんの生産設備を新たに導入した。
竣工式で新工場の概要を説明した工場長の藤原俊彦執行役員は、新工場の狙いについて「安全な商品を迅速にお客さまに届けるために出荷機能を高めたことが一つ。二つ目は新商品の製造を行うこと」だと述べた。
「生産量2倍、売上も200%に」
竣工式の冒頭挨拶に立った山田英生社長は、新工場の役割について、「全国600万人のお客様に対してさらに魅力的な商品を提供すること。今まで以上に短納期で商品をお届けすること」の二つがあると語った。「新設された製造設備と導入された最新の流通機能は、間違いなくそれを実現してくれる」。
また山田社長は、竣工式後に記者の質問に応じた。主な一問一答は次の通り。
──新工場稼働に伴う売上高目標について。
工場の生産設備は旧工場と比べて2倍、3倍になっている。売上についても、今後3年間で150%、200%となるようにしたい。
──新工場の特徴について。
健康食品の機能性表示制度が今春からスタートする。日本通信販売協会のサプリメント部会部会長の立場で消費者庁と話し合いを続けてきた。機能性表示は、健康食品をお客様にわかりやすく伝えられる画期的な制度だが、企業の責任は一層高まるだろう。そういった意味でも、新工場の品質管理体制は非常に充実したものとなっている。
旧工場でも健康食品GMPやISOを取得していたが、もともとそのような仕組みでつくられた工場ではなかった。新工場に関しては最初から徹底した品質管理を貫けるものになっている。
──新工場竣工の目的は。
朝に注文を受けた商品を、その日の夕方にお届けできるような体制をつくるための工場だ。また新しい商品をつくるラインも充実させた。通信販売企業は全国に多くあるが、当社のように実際にもの作りを行い、地域に根ざした事業を行う企業は少ない。新工場は、地域の観光資源としても役立て、地域に密着した工場として発展させていきたい。また、もの作りの現場をお客様に見ていただきながら、お客様と一緒にもの作り、あるいは商品開発について考えていけるような施設にしたいと思っている。
【写真は、60億円投じこのほど竣工した山田養蜂場第一工場(写真左)、記者の質問に答える山田英生社長(18日、岡山県津山市)】