ノンアルトクホ許可に波紋 消費者委の答申覆す(2015.2.26)

ノンアルコール許可

 消費者庁は18日、サッポロビール㈱と花王㈱が特定保健用食品(トクホ)として許可申請していたノンアルコールタイプのビールテイスト飲料2商品を許可した。こうした特性の商品許可は初で、トクホの市場の拡大に貢献すると期待が持てるが、消費者委員会は昨年8月、2商品を「トクホに不適切」と答申、それを覆す許可に波紋が広がっている。

 許可したのはサッポロビールの「サッポロプラス」、花王の「ヘルシアモルトスタイル」。サッポロプラスは難消化性デキストリン(食物繊維)を配合し、食後の血糖値が気になる方に適する旨の表示、ヘルシアスタイルは茶カテキンを配合し、体脂肪が気になる方に適する旨の表示がそれぞれ認められた。

 この2商品のトクホ許可を巡っては、昨年8月に消費者委員会が「未成年者の飲酒の入り口になる」などを理由に、「トクホに不適切」と同庁に答申していた。だが、商品としてはトクホの許可要件を満たしており、今回、同庁はこの答申を覆して許可するに至った。

 同庁では今回の2商品の許可に当たり、ノンアルコール飲料に関する業界団体の自主基準(酒類に関する連絡協議会策定)の遵守を条件に加えた。遵守されない場合は許可取り消しもありうるとも強調する。
 この自主基準では20歳以上を対象にしている旨の表示や、未成年者への飲用を推奨したり誘引するような表現は行わないなどの広告基準を設けている。販売店には年齢確認、アルコール飲料とは区分して陳列するなどの対応も求めている。

 19日に会見した消費者委員会の河上正二委員長は、自主基準の遵守を許可条件としたことに一定の理解を示す一方、未成年者の飲酒を誘引しかねない今回のトクホ許可には懸念を示した。

河上委員長「認識異なる」

 一方、この会見で河上委員長は、消費者庁担当官がトクホの許可要件の一つである「食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できるものであること」は、同委の諮問対象ではないと発言したことに対し、「私の認識とは大きく異なる」と語り、同庁に説明を求める意向を示した。24日現在、同庁と調整中だが、「本委員会と部会及び部会調査会の委員も併せて、公開の場で同庁の説明を聞くことになる」(同委事務局)見通しという。

 消費者庁の発言は17日の規制改革会議の健康・医療ワーキンググループ(WG)のなかで出たもの。WGの議事録がまだ公開されていないため、どのような議論の中で発言があったかは不明。

 トクホの許可要件は、保健の用途の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること、適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるもの、食品や関与成分の安全性、日常的に食べられている食品であることなど、全部で8項目ある。

 今回、同委の諮問対象ではないと発言があった要件は、ノンアルコール飲料のトクホ許可を不適切とした部分に関わるだけに、河上委員長は「我々は8項目の要件すべてについて聞かれていると理解している。余計なことをしたとは思っていない」と不満を顕にした。まずは同庁の説明を求めるが、必要なら建議する可能性にも触れた。

【写真は、河上正二・消費者委員会委員長(19日、東京・千代田区)】

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