食事や運動はタイミングが重要 時間栄養学研究会(2015.2.26)

03時間栄養会場 03時間栄養柴田氏

 2月14日、第1回時間栄養科学研究会が早稲田大学先端生命医科センターで開催された。時間栄養・運動レシピ開発コンソーシアムとの共催で行われた同会に、研究者らが多数参集した。

 講演では、代表世話人の早稲田大学・柴田重信氏が「体内時計における食と運動の相互作用」で登壇。食事のタイミングが体内時計の位相に役立ち、運動も同様であるとして概念を示した。その中で「ある種のサプリ摂取は朝が望ましい」ことや「夕方の運動のほうが太り難い」といったことが分かりつつあるとした。

 女子栄養大学・香川靖雄氏は「時間遺伝子からテロメアへ」と題し、運動により刺激されたPGC1αが活性酸素を阻害し、肥満を防ぎテロメアを維持するメカニズムを示した。加えてビタミンEや全粒穀物の摂取でもテロメアを延長させる効果が期待できるとも言及した。

 産業技術総合研究所・大石勝隆氏はストレス性睡眠障害モデルマウスを用いた睡眠改善食品開発の例を挙げた。農研機構・大池秀明氏は、食品の摂取時刻のより同一成分であっても栄養効果や機能性効果に差がでるとした上で、天然物由来の素材にも体内時計に働きかけるものがあると紹介した。九州大学・安尾しのぶ氏は、アミノ酸の摂取と光の照射により活動リズムに有意な相乗効果が認められた。さらに「オルニチンの摂取は夜が効果的」と強調した。

 東北女子大学・加藤秀夫氏は「成長ホルモンの生理的効果を高めるためには運動の4~5時間前の昼食が鍵となる」と食育の観点から研究報告をした。

 他にも、臓器別の体内時計の講演もあった同会。弊紙取材に世話人・柴田氏は「この分野の科学は緒に就いたばかり。今後さらに広がりを見せるだろう」とコメントした。

 第2回は9月に「ニュートリズム研究会」との共催で行われる予定。一般演題も受け付けるとしている。

【写真は、代表世話人・柴田重信氏(写真右)と、第1回時間栄養科学研究会(2月14日、東京・新宿区)】

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