特商法見直しに向け議論開始 消費者委員会(2015.3.12)
特定商取引法の見直しに向けた議論が始まった。消費者委員会は5日、「特定商取引法専門調査会」(後藤巻則座長・早稲田大学大学院教授)の初会合を開き具体的な検討を開始。同調査会は期限を定めず「要望が強いもの、消費者被害が大きいもの、緊急な対応が必要なもの」(後藤座長)から順次検討する。
初会合では、特商法の概要や最近の消費者問題、また訪問販売、通信販売の動向について、消費者庁と経済産業省からそれぞれ説明があった。
このうち消費者庁は、2013年度の消費者被害額が年間約6兆円、GDPの1.2%に相当するとの推定や、特商法に関係する消費生活相談では、訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入で60歳以上の割合が5割を超えていること、マルチ取引では20~30歳代の相談が4割近くを占めるなど、消費者被害の現状を説明した。
委員からは、消費者が要請していない勧誘(不招請勧誘)への規制、指定権利制の廃止、送り付けなどネガティブオプションに対する書面交付義務化などの見直が複数の委員から具体的提案として出された。また、高齢者や認知症高齢者のトラブル、インターネット取引のトラブル増加に懸念する声や、執行が不十分と不満を漏らす意見が多く出た。中には、ネットモール運営事業者の責任を法で定められないかとの意見もあった。
一方、委員には日本訪問販売協会や日本通信販売協会、日本商工会議所など、産業、経済団体からも参加。過度な規制で健全な事業者の活動が委縮しないよう求めたほか、関係者から幅広くヒアリングを行うなど、丁寧に議論を進めるよう求めた。
【写真は、後藤巻則座長(3月5日、東京・千代田区)】