池森氏「3年で立て直す」 ファンケル、新経営体制へ(2013.5.23)

ファンケル池森会長

 ㈱ファンケル(横浜市中区)は14日、会長執行役員の池森賢二氏を代表取締役会長執行役員とする代表権の異動について同日開催の取締役会で決議した。この前日に開催した新経営方針説明会では、池森氏が創業者の立場からファンケルの現状を危惧、「お客様視点の不足、ベンチャー精神の希薄化など、〝ファンケルらしさ〟が失われている」と問題点を指摘し、今後はスピード感のある経営改革に着手し「3年で立て直す」ことを明言した。

 同社では昨年3月に化粧品のリブランディングを実施、無添加化粧品の刷新、大規模プロモーションなどによるブランド価値向上に取り組んできた。一方健康食品事業においても、ダイエット食品「カロリミット」や美容飲料「HTCコラーゲン」の刷新など、商品力の強化を進めてきた。池森氏の経営復帰には、これら事業のリブランディングが「思ったほどの成績ではなかった」(同氏)点にある。再度改革を推し進めるためには創業者ならではのスピード感が必要と判断した。

 改革に乗り出す基本方針は「経営基盤」「研究開発・商品開発」「グループ戦略」の3つ。来年4月からの持株会社体制への移行に伴い化粧品、健康食品事業を会社分割し、「ファンケル化粧品」「ファンケルヘルスサイエンス」をそれぞれ新設、また技術・知識の専門家集団を目指す中での社員教育にも注力し、次世代の育成を進める。

 研究開発体制の強化では、研究所の組織を改編、独自性のある商品づくりを進める。主力の化粧品をはじめ、健康食品分野では効果実感のあるドクターズサプリメントの本格販売とともに、青汁や発芽玄米などの一般食品に近い商材の開発にも力を入れる。

 同時に独自成分である発芽米に含有する植物ステロール配糖体PSGの量産化の目途が立ったことから、今秋までには中高年対応サプリメントとして市場に投入、「サプリメントの復活」を目指す方針だ。

 さらに流通分野にも踏み込む。コンビニ及びドラッグストアチェーンなどと手を組み、同社が持つ無添加の技術を活かした化粧品のPB・OEM展開を推し進め、3年後には国内チャネル別の卸部門の売上構成比を25%に高める。

13年売上高は828億円に

 同社が13日に発表した2013年3月期の連結決算では、栄養補助食品関連事業およびその他が前年度を下回ったものの、化粧品のリブランディングが奏功し、全体で0.6%増の828億700万円となった(いいもの王国を連結していなかった前提に組み替えて比較)。営業利益はリブランディングに伴うマーケティング費用が増加したことなどにより5.7%減の38億5800万円。特別損失に、中国販売代理店の株式評価損を計上したことなどから当期純損失は21億9300万円となり、同社初の赤字決算となった。

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