「機能〇〇食品やめて」 消費者庁が改善要請(2015.4.9)
インターネットで「機能〇〇食品」などと機能性表示食品と紛らわしい表示を行っていた25事業者31製品に対し消費者庁は、機能性表示食品制度スタート前日の3月31日、表示の改善を要請し、発表した。健康保持増進効果について著しく誤認させる表示を禁じた健康増進法第32条2第1項に違反する恐れがあると判断したためだ。一定の科学的根拠が必要となる「機能性表示食品」と誤認させるような表示を事業者が行わないよう、強くけん制した格好。
同庁は今回、通常のインターネット監視とは別に、3月20日から24日の4日間、「緊急かつ集中的に」調査を実施。その結果、生鮮農産物6件、農産加工品2件、畜産品2件、その他の加工食品21件の表示について同法違反の可能性が認められたという。短期間の調査でこれだけ確認されたことから「機能〇〇食品」の表示は実態的にかなり多いと同庁では見る。
同庁では製品が特定されることを理由に、違反の恐れがあると判断した表示の具体を示していないが、ここにきて生鮮食品売場などで目立つ「機能性野菜」の表示にも改善を求めた可能性がある。ただ、「機能性」も「機能」も一般的に用いられる言葉。「機能性ウェア」「機能性メガネ」などといった表示が巷間あふれている中で、それを「食品」と結び付けただけで同法違反を問うのは、憲法21条に規定された表現の自由に抵触しかねない。
一方で、言葉面だけを見れば、「機能〇〇食品」と「機能性表示食品」は確かに似ている。事実上の一般名称として以前から用いられてきた「機能性食品」の表現にしても、消費者に機能性表示食品のことだと誤認される可能性はある。業界としては今後、機能性表示食品以外で「機能性」「機能」を謳うには、一定の配慮が求められそうだ。
しかしながら機能性表示食品は、容器包装の主要面に「機能性表示食品」と必ず表示する。消費者庁から返送される届出番号を表示する必要もあり、その食品が「機能性表示食品」なのか、あるいは「機能〇〇食品」なのかは、それら表示の有無を確認すれば一目瞭然である。
確信犯的な「機能〇〇食品」の表示は積極的に取り締まるべきだが、それと同時に消費者庁には、表示をしっかり確認するよう求める消費者教育を行う必要がある。それ無くして「機能〇〇食品」の規制に動けば、またぞろ「言葉狩り」の批判を免れない。