届出 求められる理論武装 消費者団体、早くも疑義の声(2015.4.23)
安全性や機能性の科学的根拠情報が商品発売前から全面開示される機能性表示食品制度。それゆえ〝ガラス張り〟とも称されるが、届出情報に対する疑義の声がさっそく上がっている。こうした疑義の声にその科学的根拠は十分耐えられるか──届出に当たっては各社で高度な理論武装が求められるといえそうだ。
インターネットを通じて疑義を呈したのは科学ライターの松永和紀氏。自身が代表を務める消費者団体フード・コミュニケーション・コンパス(フーコム)が運営するウェブ媒体で22日、17日に届出が受理された8製品の届出情報について「見てとにかく驚いた。新制度は、こんなに緩いものなのか!」などと論評するコラムを掲載した
。
8製品中「もっとも驚いた」としたのはキトグルカン(エノキタケ抽出物)を機能性関与成分とする「蹴脂粒」。同成分は特定保健用食品の関与成分としても申請されているが、食品安全委員会新開発専門調査会は今年2月、消費者委員会がいったん了承した作用機序を疑問視した上で「安全性を評価することはできない」などと判断。これに対して申請者のリコムほか共同研究者の学識者らが真っ向から反論しており結論は出ていない。
届出者のリコムは、過剰摂取・長期連続摂取臨床試験のほか、急性毒性試験、90日間反復投与試験といった安全性試験の結果を根拠に同品の安全性をしっかり説明。一方で、松永氏は食安委の判断を根拠に、届出が受理され、同品が機能性表示食品として発売されることをコラムで強く疑問視している。
松永氏は、「疑問を持つのは蹴脂粒だけではない」とし、次回のコラムで「別の製品をつぶさに検証する」と宣言。継続的に問題提起していく構えを見せている。