魚油の抗うつ作用 EPAが効く? タマ生化学 「EPA-40」(2013.5.9)
EPA(エイコサペンタエン酸)の摂取で不安行動を減少させる可能性のあることが竹中麻子・明治大学農学部教授らの実施した動物試験で確認された。タマ生化学㈱が製造販売している健康食品用原料「EPA─40」を使った試験で認められたもの。EPAによる、うつ症状緩和作用を検証する目的で竹中教授に試験実施を依頼した。
試験実施の背景について同社では「魚油の機能性に関しては、心血管疾患リスク低減、血中中性脂肪低下は広く認知されているものの、うつに対する効果は十分に認知されていない。効果を実証できれば、(機能性用途の拡大など)波及効果は大きい」と話す。
EPAやDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む魚油オメガ3系脂肪酸の摂取による、うつ症状緩和作用に関する文献は複数存在する。一方、同社によれば、その報告の多くはDHAによるもので、否定的な見解も一部で示されている。
ただ、「近年ではEPAの方が有効だとの見方も出ている」と同社。具体的には、DHAよりもEPAを多く配合(10対1の割合)した製剤の摂取で大うつ(メジャー・ディプレッション)の改善が認められたとの論文が11年に出ている。また、09年に発表されたメタアナリシスでは、抗うつに関してはEPAの方が有効だとも指摘されているという。
竹中教授らの実施した試験(高架式十字迷路試験)では、通常食にEPAを添加したラットは通常食のみに比べて不安行動に関する指標(ヘッド・ディッピング、ストレッチ・アウト)について改善傾向が認められた。
ただ、この試験は「予備的に実施したもの」(同社)であり、現時点では効果が示唆されたに過ぎない。このため、同社は今後も試験を継続していく方針だ。「魚油は日本で始まった素材。海外メーカーが機能性研究に力を注いでいるが、日本も負けてはいられない」と同社では話している。