訪販、電話勧誘の禁止範囲など議論 消費者委員会(2015.5.7)
消費者委員会の特定商取引法専門調査会(後藤巻則座長・早稲田大学大学院法務研究科教授)が4月28日に開催され、訪問販売及び電話勧誘販売などの勧誘について議論を行った。消費者庁が提案した罰則強化や規制内容を5段階に分けた案を基に議論を行ったが、いわゆる不招請勧誘の禁止を求める消費者団体や弁護士の委員と、過度な規制は営業活動の妨げになると懸念する産業界、経済界の委員の意見は平行線を辿り、結論を得るには至らなかった。
消費者庁が提案したのは、大きく、罰則の強化、行為規制の拡充、事前の参入規制の3点。このうち罰則強化は強引な勧誘や消費者の意に反する勧誘に対する規制を目的としたものだが、訪問勧誘や電話勧誘は密室性があり違反行為の認定が困難であるなどの問題点も同時に示した。また事前の参入規制は、事業者を許可制や届出制にすることや、勧誘員に対する資格制の導入などを想定したものだが、事業者、行政のコスト増につながるといったデメリットがあるとした。
一方、議論が最も行われたのが行為規制の拡充で、禁止範囲を現行規制を含め5段階に分けた案が示された。案は、招請された場合を除き原則勧誘を禁じる①案から、原則勧誘禁止だが、招請の場合や勧誘を受けてもよい意思表示した者のみを例外とする②案、原則勧誘可能だが勧誘一般を受けない意思表示(オプトアウト)した者は勧誘を禁止する③案などが示された。さらに、オプトアウトの方策として、一部の自治体が条例で定める「訪問販売お断りステッカー」による意思表示などの方策も提示した。
消費者トラブルの減少や不招請勧誘の禁止を求める消費者団体や弁護士の委員は、規制の大幅強化につながる②や③案を支持する意見が多かった。一方、産業界の委員からは、違反行為に対する罰則強化には賛成する意見があったが、消費者トラブルの原因は販売方法であって、訪問販売や電話勧誘販売が問題なのではないとの主張や、通常の事業者が営業活動できない仕組みは作るべきではないとの意見が多く、議論はかみ合わなかった。ほかにも、かつての御用聞きのように消費者宅に出向いて販売を行う新たなビジネスモデルが生まれつつあり、その芽を摘むと懸念する声もあった。
訪問販売や電話勧誘については、今回の議論を基に同庁が具台的な制度設計案を提示し、それに基づき改めて議論する予定にしている。
【写真=4月28日の消費者委員会(東京・千代田区)】