昨年の消費者被害額、推計6.7兆円 消費者庁(2015.5.21)
消費者庁は、2014年の消費者被害・トラブル額が約6.7兆円(既支払額〈信用供与を含む〉)だったとの推計結果をまとめた。前年比約0.7兆円増だが、意識調査を基にした推計であるほか、標本誤差を考慮すると額に幅があるため、全体として増加だと推測はできるものの、断定はしにくい。
同推計は、基礎となる被害件数を「消費者意識基本調査」で抽出した613件の被害経験を基にしており、これに15歳以上人口を掛けて日本全体での被害件数を算出。さらにPIO‐NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)の相談などで得られた平均の被害・トラブル額を掛けて被害額を推計した。なお、標本誤差を考慮し、被害額は約6.2~7.2兆円と幅があり、前年の約5.5~6.5兆円と一部重なる。
意識調査では、この1年で購入した商品や利用したサービスで経験した問題点も聞き取りを行い、結果、10.6%(前年は8.0%)が何らかの経験があり、中でも、機能・品質やサービスが期待よりかなり劣っていたとの回答が7.9%(同6.1%)で最も多かった。次いで表示や広告と実際の商品・サービスの内容が違っていたが4.9%(同2.5%)、思っていたよりかなり高い金額を請求されたが2.4%あった。
なお、11日に開催した同庁の意見交換会では、「全体として恐らく(被害は)増えていると推測するが、断定はできない」(菅幹雄委員・法政大学教授)として、同様の調査を継続し、中長期的に捉える必要があるとの意見が多かった。
一方、同庁から高齢者や地方別などの被害額を推定したいとの提案があったが、これに対し委員からは、標本数を増やす必要があること、現行調査の継続を望む意見が多く、変更には慎重な意見が多かった。
【写真=11日に開催された消費者庁「消費者被害・トラブルに関する意見交換会」(東京・千代田区)】