トクホ制度検証も 審査迅速化は懸念 消費者委WG(2015.5.21)
消費者委員会の食品ワーキンググループが12日に開催され、特定保健用食品(トクホ)制度の課題などについて、有識者2名からの聞き取りを行った。トクホは行き過ぎた広告表示や、最近ではノンアルコール飲料の許可を巡る同委と消費者庁の判断の隔たり、機能性表示食品の新設による存在感の埋没といった問題が浮上している。議論はトクホにとどまらずいわゆる健康食品を含め幅広く行われた。今後、意見を取りまとめて同委に報告し、同委で必要な検討が行われる見通し。
聞き取りは、同委新開発食品調査部会の評価調査会座長を務める大野泰雄委員(木原記念横浜生命科学振興財団理事長)と、山田和彦委員(女子栄養大栄養学部教授)から行った。
トクホ制度では、信頼性向上のためデータの質を上げるなど許可レベルの引き上げや、発足から20年以上経ち、制度検証が必要との意見が出た。また、広告表示について、表現の自由がある一方、広告はラベルの一部と説明した制度発足当時と今では齟齬があるとの指摘もあった。
4月に機能性表示食品制度が誕生し、トクホ、栄養機能食品を合わせ3種類の機能表示の食品が店頭に並ぶことについては、消費者への情報提供の強化、関係団体などとの連携に加え、米NIHにあるODSのようなサプリメントの専門組織が必要との意見があった。このほか、難消化性デキストリンやオリゴ糖などが様々な商品に配合され、過剰摂取リスクがあることを啓発する必要があるとの指摘もあった。
一方、規制改革会議が6月にまとめる答申に盛り込まれる見通しとなった、トクホ審査の迅速化については「迅速性を強めるために判断基準を下げるのはつらい」(山田委員)と懸念する一方、「(委員の)分担が決められていない。効率的にやっていないと反省している」(大野委員)と、改善の余地があることも触れた。
【写真=出席した大野泰雄委員(左)と山田和彦委員(5月12日、東京・千代田区)】