3類薬など同質化を懸念 機能性表示で OTC薬協(2015.5.21)
機能性表示食品制度に関する要望書を今年2月、2回にわたり消費者庁に提出していた日本OTC医薬品協会は18日、正副会長の互選を行い、新会長に武田薬品工業コンシューマーヘルスケアビジネスユニットの杉本雅史プレジデントの就任を了承、杉本新会長は同日行った就任記者会見の中で、機能性表示食品にも言及した。「特に指定医薬部外品や第三類医薬品の同質化が懸念される」などと危機感を示した。
同協会は要望書で、機能性表示食品とOTC医薬品の効能・効果表示を明確に区別することなどを求めた。例えば「疲労回復」ならば機能性表示食品では「肉体疲労の軽減の寄与」、「便秘」ならば「2日ほど排便がない場合の便通の促進」などといった表示を行うようにすべきだと訴えている。
杉本新会長は会見の中で、同協会が検討を進めてきた「OTC医薬品産業グランドデザイン」の概要を発表。10年後の2025年に、国内OTC市場1兆8千億円(現在1兆1千億円)規模への拡大を目指すもので、新領域でのスイッチOTC化の実現、効能・効果表示に予防的効果の追加など、11項目の基本戦略と30項目の具体的施策を明らかにした。
このうち杉本新会長が機能性表示食品の登場に危機感を示しながら重要性を説明したのは、具体的施策の一つとして挙げた「生活者目線に合わせた効能の読み替え、配合成分の機能訴求の推進」。
これについては協会の15年度重点活動テーマの一つに「ビタミン含有保健剤の製造販売承認基準の見直し」を挙げ、規制改革会議などとの間で調整を進めている。使用目的や製品の特長がより分かりやすい効能表示や表現に見直す方向で、杉本新会長は「エビデンスに基づく医薬品であると差別化を図れるような働き掛けを行っていきたい」と述べた。
健康食品やトクホの市場拡大などに伴い国内OTC医薬品市場は低迷している。その中で、杉本新会長は「健康食品とOTC医薬品との違いをしっかりつけていくことが重要」だと強調。また、機能性表示食品については、協会の参画企業の多くが健康食品やサプリメントを取り扱っていることもあり、協会として監視機能を果たしていく構えも見せている。
「医薬品的表現は出来ないなどとガイドラインでは示しているが、様々な企業がある。場合によっては消費者庁と連携を深めながら、健康食品の機能性表示として相応しくない表示は是正していきたい」と杉本新会長は語った。