14年の健食受託市場1415億円に 矢野経済(2015.8.20)


 2014年度の健康食品受託製造の市場規模が、前年度比100.6%の1415億2000万円と、微増の見込みだとする調査結果を、このほど㈱矢野経済研究所(東京都中野区)がまとめた。消費税増税前の駆け込み需要の反動や、消費回復が想定より時間がかかったこと、機能性表示食品制度の開始を前に、既存商品のリニューアルや新商品投入が控えられたことが影響したという。

 「健康食品受託製造市場に関する調査結果2015」として発表したもので、調査は今年4~6月に、健康食品受託製造企業や健康食品販売会社、関連団体や管轄官庁などに直接面談やヒアリング、アンケート調査などを通じて行った。

 素材、剤形の動向については、近年の青汁・スムージーの好調な推移により、粉末・顆粒形状の製造受託が各社とも好調に推移。また、DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸、プラセンタが大きく市場拡大していることに加え、ブルーベリー、ニンニクなどの人気素材の堅調もあり、ソフトカプセル形状の製造受託も好調に推移する傾向が見られたとしている。このほか、プロバイオティクス関連需要の高まりで、腸溶性のシームレスカプセル、錠剤も堅調だった。

 さらに、中国人観光客を中心にインバウンド需要が盛り上がり、ナットウキナーゼや酵素が好調に推移したことで、粉末・顆粒やソフトカプセルなどの形状を多く手がける受託企業の業績が特に好調に推移したという。

 一方、健康食品販売会社を対象に機能性表示食品制度に対する意向調査も実施。「現在対応を検討中である」が28.9%、「状況を静観している状態である(直近で届け出の予定はない)」が26.3%、「既に届出を行った」が18.4%、「届出に向けて準備中」が10.5%だった。「検討中」と「静観」を合わせると半数の55.2%になるが、一方で「展開する意向はない」は2.6%にとどまっており、このため、全体として制度に対する関心が高い傾向が見られるとした。

 さらに、同結果の考察も行い、「制度は追い風との見方が強いが、費用対効果や制度に反対姿勢を見せる消費者団体等の動き、世論の状況を見極めたいとの姿勢も強く、届出先発組の状況を見た上で展開を検討する健食販社が多いと考える。一方、遅れを取りたくな(いとの反応も強く、実際には15年末から16年にかけて商品化を目指す健康食品販売会社が多いものと推察する」としている。

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