成分ベースの評価に言及 消費者庁・塩澤氏が講演(2013.10.10)
消費者庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官は、7日に都内で開催されたシンポジウムで講演し、2014年度中にも創設する健康食品などの機能性表示制度について、表示の根拠となるエビデンスは成分ベースで評価することになるとの考えを示した。今後の制度検討に向けた課題では、安全性の確保を最重要としたほか、科学的根拠の要件整理、製品の届出制を挙げた。また、疾病リスク低減などの予防的な表示はハードルが高いが検討するとした。(関連記事【話題】「
機能性表示、検討の方向性 消費者庁・塩澤氏がAIFNで講演」)
同氏は、「日本の法規制公開シンポジウム」(在日米国商工会議所〔ACCJ〕、国際栄養食品協会〔AIFN〕主催)で、「新たな機能性表示制度に向けた検討の方向性」と題して講演。新制度は6月に閣議決定された規制改革実施計画の通り、米国ダイエタリーサプリメント制度を参考に、国内にあった制度を模索していく考えを伝え、米国制度をベースとしつつ、特に米国でも問題視されている安全性の面を重点的に検討する必要があるとした。具体的な検討スケジュールは、今年度中に消費者意向調査を実施し、主に消費者の誤認防止に向けた知見を集めて制度原案を作成、その後、有識者による検討の場を設けて検討するとした。有識者には事業者、消費者代表、学識経験者を予定し、「様々な立場、観点で議論し、フェアな制度を作っていきたい」と語った。
一方、機能性表示の根拠となるエビデンスについては、今後の検討としつつも、成分ベースになるとの見解を伝え、特定保健用食品(トクホ)など製品ベースでの評価との違いを強調。ただ、表示に必要な科学的根拠の要件については今後の課題だとして言明しなかった。
さらに、表示可能な機能性の範囲を、構造、機能までとするか、疾病リスク低減など予防的なものまで含めるかについては、論点になるとして否定しなかったが、個人的見解として「企業責任でできる制度に疾病リスク低減表示を入れるというのは極めて難しいのではないかと思っている」とも語った。
また、米国で採用されている製品の届出制を国内にも導入する考えを伝えたが、米国のように製品発売後30日以内にFDA(米食品医薬品局)に届出る事後届出制か、事前に届出るかは、今後の検討次第になるとも語った。
このほか、表示の範囲については製品パッケージのみならず、広告や販促物にまで広げて検討する考えを伝えた。さらに、最終的にガイドラインとして示すか、義務的規定とするかも今後の検討次第と語った。
なお、日本健康・栄養食品協会などが要望した、国が関与するかたちでの第三者認証は技術的に難しく、また閣議決定にもそぐわないと指摘。再現性の問題など、健康食品の評価基準は定まっておらず、また世界的にも国が認める第三者認証を採り入れている国はないと否定した。同氏は「各企業がこういうエビデンスが出たから、こういう表示をしますと、きちんと社名をかけて宣言し、販売するのが制度としては適切と考えている」と語り、閣議決定通り、企業責任による表示制度を構築する考えを強調した。
さらに、一部で浮上している評価ガイドライン等の検討を、同庁が外部に委託することについても明確に否定した。
【写真は消費者庁の塩澤食品表示調査官】