積み残し課題「結論、今年度中の可能性」 森下教授(2015.9.24)
機能性表示食品の対象外にされているビタミンの取り扱いを巡る議論を消費者庁が近く始める見通しだと、16日、規制改革会議委員の森下竜一・大阪大学大学院教授が都内で述べた。ビタミン類全般を供給するDSMニュートリションジャパンが主催し都内で開催したセミナーに登壇し、機能性表示食品をテーマにした講演の中で語った。
講演の中で森下教授は、「消費者庁に今年度中に議論を始めて欲しいとお願いしている。間もなく議論が始まるのではないか」と述べた。また、今年度中に結論がまとまり、公にされる可能性があるとの見方も示した。
一方で、議論の行方は現状まったく不透明であるとの見解も示した。質疑応答でビタミンが機能性表示食品の対象成分になり得るかどうかを問われた森下教授は、「議論すること自体は合意しているが、現時点では(議論の)方向性は決まっていない」と現況を説明した。
また森下教授は、「私は認められると思っている。その方向でぜひ議論したいと思う」と述べる一方で、「いろいろなステークホルダーがいらっしゃる」とも述べ、ビタミン類を機能性表示食品の対象に認めるかどうかの議論は一筋縄では行かない可能性を示唆した。
現状、ビタミン、ミネラルなどの食事摂取基準で基準が策定されている栄養成分などは機能性表示食品の関与成分の対象外とされている。関与成分が明確ではない素材も同様の取り扱いを受けており、これらを対象成分に加えるかどうかは制度施行までに積み残された検討課題の一つとなっている。
対象外成分の取り扱いを巡る今後の議論について森下教授がこの日の講演で言及したのはビタミンのみ。ただ、ビタミンに限らず対象外成分を対象にするための方策検討を健康食品産業協議会が進めているほか、機能性糖質・糖類を対象成分にするよう求める産業界からの強い声も挙がっており、議論対象がビタミンだけとは考えづらい。
一部の報道では、消費者庁は「検討会」を立ち上げて11月にも議論を始める可能性が取りざたされている。一方この日の講演で森下教授は、どのような形で議論されるのかについては見通しも含めて一切述べなかった。
【写真=森下竜一・大阪大学大学院教授(16日、都内)】