経口投与後臓器に分布 千葉大・戸井田教授が報告(2015.9.24)
今年3月に発足した「ヒアルロン酸機能性研究会」(矢澤一良会長・早稲田大学研究員教授)は10日、第1回学術大会を東京大学弥生講堂一条ホールで開催、ヒアルロン酸の経口摂取による皮膚への影響を検証する臨床試験成果など、計6題の学術講演を行った。業界関係者や識者など約150名が聴講に訪れた。
学術講演のうち1演題は、ヒアルロン酸の「経口吸収」をテーマにしたもの。コンドロイチン硫酸の分析などで知られる千葉大学大学院薬学研究院の戸井田敏彦教授が講演、自身らが実施し確認した動物試験の成果として、ヒアルロン酸を経口投与すると高分子のヒアルロン酸が体表近くに分布することが確認されたほか、低分子のヒアルロン酸はそのままの形で比較的短時間のうちに血中移行することが明らかになったと伝えた。経口投与後、およそ6時間~8時間後までは血中で検出できるという。
戸井田教授は、一連の試験の結果から「分子量2000の(低分子の)ヒアルロン酸は、臓器にも分布しているようであることが分かった」とした。また、「(経口投与したヒアルロン酸を)血中に速やかに吸収するマウスと、そうではないものマウスが存在する。個々が謎で、メカニズムはまだ分からない」とも説明した。
消費者庁のウェブサイトに公開されている、ヒアルロン酸ナトリウム(Na)を機能性関与成分にした機能性表示食品の届出書(キユーピーのヒアロモイスチャー240)によれば、経口摂取したヒアルロン酸Naは、腸内細菌により2~6糖に分解され、一部が小腸から吸収されて皮膚などの組織に移行する。これにより、生体内に吸収されたヒアルロン酸の一部は皮膚のヒアルロン酸合成を促進し、その保水力によって肌の乾燥緩和に寄与している可能性が考えられるという。
大会ではこのほか、元消費者庁長官の阿南久氏による基調講演も行われた。「機能性表示食品をつっこむ会」の第2弾を近く開催するという。