エクオール食品市場形成に弾み ダイセルが食用原料供給へ(2013.10.10)


 化学品メーカー大手の㈱ダイセル(東京都港区)がサプリメント用「エクオール」原料のサンプルワークを今秋から開始し、来春にも本格供給を始める。まずは医療機関を通じた市場導入を進める方針。これにより、安全性などに関して医師からの信頼を得て、市場普及に弾みをつけたい考え。

 エクオールは、大豆イソフラボンの主成分「ダイゼイン」から腸内細菌で生成される物質。イソフラボンには更年期症状改善作用などが示唆されているが、こうした機能を発揮するための「キー物質」とも言われる。

 同社では1970年代にスタートさせた微生物の有効利用技術研究で得た知見を活かし、エクオールを産生できる菌株を腸内細菌の一種から発見。その後、発酵生産物の受託製造に対応していた袋井工場で10㌧規模の生産体制を整え、今春から機能性化粧品向け原料の供給を開始していた。

 大豆胚芽を原材料にした微生物発酵法で天然型エクオールを高純度で量産できる製法を確立しており、化粧品向けでは含有量97%で規格化した粉末原料を供給している。化粧品メーカー大手のスキンケア化粧品で採用実績もあげた。

 サプリメント用については5%含有品を供給する計画。今後、更年期症状改善に関するエビデンスを中心に蓄積し、女性向けのアンチエイジング素材として、国内外のサプリメント市場に広げていく。

 エクオールを巡っては、大豆関連栄養食品を世界的に展開する大塚製薬㈱が研究開発を大きく先行させており、同成分を生産する乳酸菌株を世界で初めて発見したと06年に発表。間もなく配合食品が発売されるとの観測も一部で出ている。

 また、個々人で能力差が大きいといわれるエクオールの体内産生能を尿検査で判定するサービスの提供を、大澤俊彦・名古屋大学名誉教授(愛知学院大学教授)らが取締役を務める㈱ヘルスケアシステムズが進めていたり、ここにきてメディア露出が増加したりといった動きも見られる。市場形成に向けた準備が着々と進められていると言えそうだ。

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