メディア対応、食品業界は足りない 健康食品フォーラム(2015.11.30)
「第35回健康食品フォーラム」(医療経済研究・社会保険福祉協会主催)が30日に都内で開催され、健康食品業界関係者など約180人が集まった。「健康食品のリスクについて考える」をテーマに、国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子氏、奈良県立医科大学の今村知明氏、毎日新聞東京本社の小島正美氏の講演とパネルディスカッションが行われた。
畝山氏は「食品安全リスク分析からみた健康食品」を題に講演。食品は食経験に基づき食べられてきたが、平均寿命が80歳を超えこれほど長期間の食経験や、人工透析など基礎疾患を抱えた人の食経験情報は乏しく、科学的なリスク分析で安全性を確保する必要があると唱えた。また畝山氏は、使用基準などで管理された添加物や農薬に比べ、食品や健康食品は品質が統一されておらず、そのリスクは大きいと語り、品質管理や医薬品との相互作用など健康食品が抱える問題点の解決を訴えた。
小島氏は食品問題に関する国内メディアの報道は、市民からの共感、弱者への視点などが重視されると指摘。企業や業界は、メディアに正しい知識を持ってもらう努力が必要で、報道が間違っていれば直ちにメディアに伝えることが大事だと主張した。
今村氏は中国産冷凍ギョウザやアクリフーズ事件などの発生で必要性が高まっている食品防御について解説した。
パネルディスカッションでも報道対応やリスクコミュニケーションの重要性が話題となった。小島氏は医薬品業界では企業、団体、学会が会見や記者セミナーを頻繁に開くが、食品関係は業者、団体ともその努力が足りないと指摘した。