意見対立する方策は棚上げに 勧誘規制巡る議論 消費者委(2015.12.3)
特定商取引法の改正に向けた議論を行っている消費者委員会の特定商取引法専門調査会(後藤巻則座長・早稲田大学大学院法務研究科教授)は2日、訪問販売や電話勧誘販売における勧誘について、現状での共通認識が得られた執行強化や業界団体等の自主規制強化などの改善策を報告書に盛り込むことを決めた。この問題では当初から委員間で意見が対立。だが、最終取りまとめの段階に至り、対立する課題は事実上棚上げし、取りまとめを優先するかたちとなった。
訪問販売や電話勧誘販売における勧誘問題は、いわゆる不招請勧誘規制の導入など、勧誘を断れない高齢者の被害防止やそもそも勧誘を受けたくない消費者対応として事前拒否制度が議論され、今回の法改正議論の目玉の一つだった。だが、健全な事業者にまで規制強化が及ぶとの懸念や、規制強化の根拠であるPIO‐NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)における「強引」をキーワードにした相談数の増加では、事前拒否制度を導入するだけの立法事実にはならないと主張する委員もおり、時間を費やしても議論は並行したままだった。
今回の議論で共通認識が得られたものは、執行強化や自主規制の強化のほか、国民生活センターや消費生活センターの体制強化、消費者教育や啓発の強化、官民連携の強化などが上がり、いずれも報告書案に盛り込まれ、再度議論される見通し。
一方、この問題に関する将来的な課題についても意見が交わされたが、法改正や法解釈の変更を伴う方策については、経済界、業界関係団体の委員を中心に警戒の声が上がり、どのような内容になるかは見通せない。
【写真=最終的には取りまとめが優先された(2日、東京・千代田区)】