規格基準型追加の可能性を検討 消費者委委員会(2015.12.17)

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 消費者委員会の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」(寺本民生座長・帝京大学臨床研究センター長)が15日に開催され、特定保健用食品(トクホ)の規格基準型追加の可能性について検討した。

 規格基準型トクホは審査手続きの迅速化を目的に2005年2月に追加されたトクホの類型のひとつ。その名の通り原材料の規格基準をあらかじめ定め、その規格に適した原材料を使用すれば有効性が確認されたものとし、過剰摂取試験など必要な安全性確認を行えば、審査を省略して通常よりも短期間で許可を可能にする仕組み。

 この日の調査会では、専門委員を派遣している日本健康・栄養食品協会が、消費者庁移管後、規格基準化を検討するシステムが明確化されていないなどの問題点を指摘したうえで、規格基準設定のルールとして厚生労働省の研究班が示したスクリーニング基準の見直しを提案した。

 見直し案は、同スクリーニング基準の①保健の用途ごとの分類で許可が100件を超えている②関与成分の最初の許可から6年経過③複数企業が許可を取得――の3要件のうち、③は科学的根拠に欠けるため、これを複数の独立した研究成果をもとに許可を取得しているものに見直すよう提案。さらに消化管内で効果が発現しているものと、消化管から吸収されて作用するまたは腸管からの吸収を抑制する成分に分けて規格化する案を示した。これにより「血圧」や「コレステロール」に適するペプチドなどの追加が可能だとした。

 調査会では引き続き検討が必要との意見が多く結論は出さなかったが、実際に審査を行う同委新開発食品評価調査会からは、審査案件が多く繁雑との悲鳴も上がっており、規格基準の追加の方向で検討が進むものとみられる。

―解説― 基準曖昧で追加検討なし

 消費者委員会の調査会で追加の方策が検討されている規格基準型トクホは、現在「お腹の調子を整える」旨が表示できる食物繊維(難消化性デキストリン、グァーガム分解物など)3種とオリゴ糖(乳化オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖など)6種、「食後の血糖値が気になる方に適する」旨の表示ができる食物繊維(難消化性デキストリン)1種がある。
いずれも厚生労働省研究班が策定したスクリーニング基準に基づき、同省所管時代に策定されたもので、消費者庁移管後は追加検討されていない。

 これは、同基準が通知等で正式に示されたものでないことが原因の一つであり、6月に閣議決定した規制改革実施計画では、同基準を参考に検討し政令や通知で定めるよう見直すことにしている。

 ただ、最終製品で有効性を検証するというトクホの特徴の一つを事実上なくす規格基準型トクホの追加は、機能性表示食品との線引きを曖昧にさせるとの懸念もある。調査会ではトクホと同食品との住み分けも検討対象になっており、これも含めてどのように検討が進むか注目される。

【写真=規格基準型トクホの追加について検討する消費者委の専門調査会(15日、東京・千代田区)】

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