情報収集強化などを指摘 トクホ制度・運用で意見(2015.12.10)
消費者委員会の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」(寺本民生座長・帝京大学臨床研究センター長)は3日、特定保健用食品(トクホ)の制度や運用について議論した。この中で多くの委員からトクホの安全性情報に関する収集の強化、一般への安全性と有効性情報の適切な公開を求める意見が出た。
トクホ制度では許可を取得した事業者に、安全性の観点から関与成分や商品に関する知見や健康被害情報の収集と、情報を得た場合は30日以内に同庁に報告するよう義務付けている。ただ、トクホは安全性についても国が審査していることや、薬と違い効果が穏やかということもあり、これまでに同庁に報告された情報はわずか1件にとどまっている。
調査会ではこうした情報収集の強化、それを提供する仕組みづくりの必要性とともに、厚生労働省所管当時は行われていた収去試験、審査状況等の情報提供、審査の合理化や迅速化の必要性などが挙がった。一方で、規制緩和で廃止された許可更新制の復活については、再審査規定があることや情報収集の強化で対応できるなどの意見もあり、必要性にまでは踏み込まなかった。
トクホ販売、許可の4割
なお、消費者庁は同調査会でトクホの現状について説明し、この中で、昨年3月時点でトクホに許可された1020品のうち、実際に当時販売されていた品目が約4割の354品だったことを明らかにした。同庁が実際に販売されているトクホの実態を調べて公表するのは初めて。
これは日本健康・栄養食品協会を通じて調査したもので、販売数の把握とともに表示についても調べ、一部はトクホである旨の表示の欠落、商品名が申請書通りでないなどの誤りが判明し、速やかな是正を要請した。