機能性表示 「自己責任の担保どうする」 法的代理人置く必要性説く(2013.10.24)
米国の食品・栄養分野コンサルティング会社「J‐ポート・カンパニー」の代表で、健康食品受託製造の三生医薬の米国在住顧問も務める白石義明氏は9日、健康食品の新表示制度の参考にされる米国制度を日本が実際に取り入れた際に想定される課題点や対応策をテーマにした講演を都内で行い、表示の「自己責任」を担保するために法的代理人を置く必要性に言及した。
事業者責任で機能性表示できる米制度を参考にした健康食品等の新表示制度の導入が日本でも検討されている。
一方、米国では、制度を所管するFDA専門の法律事務所、薬剤師資格を持つなどする弁護士が多数存在しており、事業者は、こうした専門家に表示の根拠となる臨床データや表示内容の法的妥当性を届出前に評価してもらう手段を取る。当局等から警告を受けた場合の「保険の意味もある」といい、「こうした役回りの法的代理人が日本には存在しない」ことに懸念を示した。
また、国の承認に伴う表示に慣れてきた日本の消費者と事業者が、自己責任を前提とした表示を上手く受け入れられるかも疑問だとし、「意識変革がなされない限り、米国の方法論を単純に持ち込んでも、消費者、業界ともに混乱する可能性が高い」と予想した。
これに関連し、米国でいう自己責任の意味合いについて、「常にファイティングポーズを取りながら、その背後に臨床データを持って、なにかあればそれで喧嘩するぞという雰囲気」だと説明した。
一方で、事業者責任で構造・機能表示ができる栄養補助食品健康教育法(DSHEA)が制定された94年以降、米国のサプリメント市場規模は現在までに約8倍拡大したという見方を引き合いに出し、「(それを参考にした制度が)上手く導入された場合には、日本の市場拡大は間違いない」とコメント。
しかし、「米国人は病気になれない。医療費が高額過ぎる。サプリが好きなわけではなく、自己防衛手段であり、政府もそれを後押ししている」などと述べ、米国と日本ではセルフメディケーション意識に温度差があると指摘。「それを理解しないまま制度を取り入れるだけでは、日本の市場規模が8倍になるとは思えない」とつなげた。
また、DSHEAが抱えている課題として、米保健福祉省が12年に出した「サプリメントに関する報告書」の一部を紹介し、疾病に対する効果を表示したりする違反が見られる現状を伝えた。そのため同省では、「表示を立証し科学的根拠を評価する法的機関を設立すべき」ことなどをFDAに勧告したという。