トクホ、並行審査方式へ 消費者庁が通知改正 消費者委は懸念(2016.1.18)
昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画に盛り込まれていた特定保健用食品(トクホ)審査の迅速化などの制度見直しが進みだした。消費者庁は今月1日にトクホ審査を並行審査方式に変更する通知改正を行い、これまで消費者委員会の審査後に行っていた食品安全委員会への安全性審査を、消費者委員会の審査と同時に行うよう改めた。審査に係る同庁の標準的事務処理期間も1カ月短縮し、通常のトクホは5カ月、規格基準型は2カ月に変更した。
さらに、通知ではトクホ許可要件も見直した。実施計画で判断基準の明確化として改善を求めていたもので、これまで許可要件の最初に上げていた「食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること」は、制度の根拠法である健康増進法の趣旨と重なるため削除。代わりに同庁の質疑応答集でトクホに相応しくない食品例としていた「食品又は関与成分が、ビール等のアルコール飲料や、ナトリウム、糖分等を過剰摂取させることとなるものでないこと」を加えた。許可要件は全部で8項目だが、これ以外の変更はない。
ただ、この要件変更に消費者委員会が早速懸念を示した。昨年、ノンアルコールビールの許可を巡って同委と同庁がやりあった際に問題となったのが、まさに削除された要件がノンアルビールに当てはまるかどうかであり、同委が疑心となる土壌があった。
15日の同委会合で通知改正について説明した同庁の吉井巧審議官は、従来通り国民の健康維持増進に寄与するかどうかなど健増法の趣旨に則った制度運用を図る方針を強調。だが、同委委員にほとんどは納得せず、最終的に吉井審議官は持ち帰って検討し、今後の改正時に対応すると引き取った。