セラミド特保誕生へ 審議に4年漸く実現 消費者委 (2016.1.7)
グルコシルセラミドを関与成分にする特定保健用食品として、資生堂が「肌が乾燥しがちな方に適する」旨の表示許可を申請していた清涼飲料水「素肌ウォーター」について消費者委員会は12月22日、トクホに認めて差支えない旨を消費者庁に答申し、24日に発表した。審議過程で表示内容が変更され、「肌から水分を逃がしにくくするグルコシルセラミドを含んでいるので、肌が乾燥しがちな方に適しています」となった。
今後、消費者庁が許可するかどうかを最終的に判断する。
資生堂が同品をトクホに申請したのは2011年11月。消費者委新開発食品評価第二調査会で審議された後に12年10月から食品安全委員会新開発専門調査会が安全性を審議、了承されたのが14年3月末だった。
その後、同年7月から消費者委新開発食品調査部会での審議がスタート。安全性、有効性ともに一定の了承が得られているため時間は掛からないとも見られていたが、昨年12月18日に行われた同部会で結論が得られるまでに、審議は都合7回も繰り返された。
グルコシルセラミドを機能性関与成分とし、肌の保湿力を整える働きを表示する機能性表示食品が、すでに複数届け出られている。肌に対する保健の用途を表示する初のトクホが、近く正式に認められることになりそうだ。
機能性表示が先行
資生堂がトクホ申請した「素肌ウォーター」の安全性を審議した食品安全委員会の報告書によると、同品の関与成分であるグルコシルセラミドは、こんにゃく芋に含まれるもの。同成分は、米やトウモロコシの胚芽、パイナップル果実などにも含まれており、「植物セラミド」とも呼ばれる。
機能性表示食品の機性関与成分としてはこれまでに、米由来グルコシルセラミドでサプリメントなど3品目が届け出られており、「肌の保湿力(バリア機能)を高める機能があるため、肌の調子を整える機能があることが報告されています」と表示する。
グルコシルセラミドは、美容食品(健康食品)の定番素材の一つとして配合されてきた経緯がある。その中で機能性表示食品制度が始まり、同成分を配合した機能性表示食品が早々に登場。オリザ油化や丸善製薬といった原料メーカーが届出支援を進めていることもあり、今後の増加が予想される。
そうした市場環境の中で、国の「お墨付き」を得て同様の機能を表示する「素肌ウォーター」はどう立ち回るのか。正式許可後の資生堂の動きが注目されそうだ。