特許基準改定の検討要請 バイオ系企業集団が提案(2016.1.7)


 内閣府が企業などから規制改革の提案を受け付けている「規制改革ホットライン」に、食品の用途発明の権利保護を求める意見が提出され、規制改革会議が昨年11月18日付で、経済産業省に検討を要請していたことが分かった。食品成分に見出された新たな機能について、「新たな用途」として特許性が認められるよう、現行の特許審査基準の改定を提案している。

 提案主体は、医薬、食品、化学等の分野から200社以上の会員企業を抱えるバイオインダストリー協会が中心となり設立した「日本バイオ産業人会議」。昨年3月には同協会と連携し機能性表示食品制度に関する提言をまとめ、消費者庁などに提出していた。

 現行の特許・実用新案審査基準では、食品成分の機能に関する特許出願について、その食品が未知のものか、または公知のものかの観点で特許性を判断しているため、公知の食品に新たな機能を発見しても、一般的に「新たな用途」を提供するものではないことから新規性があるとは判断されず、用途発明の特許性も否定されるといわれる。

 昨年11月21日に開催された規制改革会議に伴いこのほど公表された提案内容によれば、機能性表示食品制度の導入により、「食品成分の新たな機能を付与した食品は一般の食品と明確に区別できる」ようになったことで新規性の問題はクリアできると主張。また、欧米では食品の用途発明は権利保護されており、日本でも同様の措置を講ずることで、「企業の研究開発投資を促進し、機能性表示食品市場の拡大とグロバール化が規定できる」としている。

 機能性表示食品制度をめぐっては、「研究レビュー」の仕組みが導入されたため、先行企業の論文を引用などすることで後発企業がコストを掛けずに機能性表示を行うことも可能だなどとして、先行企業の研究開発意欲や開発投資を損ないかねないなどとする疑問の声が以前からあった。今回の提案は、そうしたリスクの回避を目的としたものとも考えられる。今後の検討の行方が注目されそうだ。

表示範囲拡大求める提案も

 昨年11月21日に開催された規制改革会議に伴い公表された規制改革ホットラインの運用状況ではほかに、機能性表示食品制度に関して「機能性表示範囲の拡大」を求める提案もあり、規制改革会議は11月18日付で消費者庁に検討を要請していたことも分かった。

 機能性表示範囲の拡大を提案したのは、コンビニエンスストアなどフランチャイズ業界の業界団である日本フランチャイズチェーン協会(JFA)。薬機法の一部規制緩和や、「第4類医薬品」の新設といった医薬部外品の拡大なども併せて提案しており、規制改革会議はそれぞれ関係省庁に検討を要請した。

 JFAでは機能性表示範囲の拡大について、特定保健用食品の関与成分として許可されている「糖類」は機能性表示食品の対象に加えるよう要望、具体例としてヤクルトのガラクトオリゴ糖を挙げた。

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