課題検討・調査費などを増額 消費者庁16年度予算(2016.1.7)
消費者庁の2016年度予算案は、一般会計で118.9億円と、今年度当初予算比0.9%(1.1億円)の増額となった。食品表示の対策費は、新たな食品表示制度の普及啓発や制度の適正化検討費用などを確保し1.93億円(今年度は1.46億円)と3割増額。来年4月導入の景品表示法の課徴金制度への対策費などを盛り込んだ表示対策費も2.02億円と2割増額した。
昨年3月に閣議決定した消費者基本計画(第3期)や同年6月に閣議決定した骨太方針を受けて同庁が取りまとめた「消費者の安全、安心暮らし戦略2015」に基づき、「多様な担い手との参画や連携・協働の強化」「制度の実効性の確保・向上」「生命・身体・財産の安全・安心のための情報収集・適用の強化」の3点を重点的に取組む。
制度の実効性確保・向上のうち食品表示関係では、機能性表示食品の残された課題など食品表示制度の個別課題に関する実態把握調査費用として5600万円(同4500万円)を確保。また、制度の普及啓発、適正化・充実に向けた検討費に3200万円(今年度は2500万円)、4月に運用開始予定の機能性表示食品と製造所固有記号のデータベースの運用費に2500万円(新規)をそれぞれ充てる。
4月に課徴金制度が導入される景品表示法関係では、同法に係る違反事件等の対応として2200万円(同1000万円)を確保。この中には複数の専門家による科学的根拠の文献査読や実証など、いわゆるセカンドオピニオンの体制構築費が含まれる。また、同法執行NETシステムを課徴金制度へ対応するための改修費用や運用費に4300万円(同500万円)を充てる。
情報収集や提供の強化策では、PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)では捕捉しにくい消費者被害やトラブルを迅速に把握するため、インターネット上の書き込みなどのビックデータの解析に600万円を新規に確保。消費増税に向けた物価安定政策推進経費は4800万円(同3700万円)、ホームページ拡充など広報・報道業務経費は1300万円を充てる。
このほか、消費者志向経営の促進に向け、優良事業者を表彰する制度や事業者、事業者団体へ自主的な取組みを促す普及・啓発費は600万円(同700万円)を充てる。
地方消費者行政推進交付金は今年度と同額の30億円を確保。今年度補正予算20億円を加えると増額になる。
課徴金の担当審査官設置
消費者庁は16年度の機構改革で、情報セキュリティ担当の企画官を設置する。当初の要求にはなかったが、政府のサイバーセキュリティ強化の一環で設置を決めた。このほか、国際室長1名、来年4月に導入される景品表示法の課徴金制度を担当する審査官を設置する。
同庁定員も増員し、課徴金制度を含む景品表示法の執行充実を目的に9名、食品表示関係でも2名の増員を図る。これらにより、来年度の同庁定員は11名増の320名となる。