機能性も「新たな用途」に 特許庁が審査基準改訂へ(2016.1.21)


 特許庁は4月から食品の用途発明に関する審査基準を改訂する方針を固めた。公知の食品や食品成分から見出された生体調整機能など効果・効能や機能性についても、新規性や進歩性などがあると判断できれば、特許を認める。従来は認めていなかったが、食品事業者などで機能性研究が非常に活発であることなどを考慮し、昨春から検討を進めていた。今後、改訂審査基準案のパブリックコメントを行い、4月中の運用開始を目指す。

 同庁が1月13日に開いた「審査基準専門委員会ワーキンググループ」で決定した。改訂審査基準は、運用開始日以降の審査から適用する。

 これまでの審査基準は、公知の食品に新たな機能性を発見し、特許申請しても、「通常、公知の食品と区別できるような新たな用途を提供することはない」として新規性を否定。認められるにはその食品に「物」としての新規性が必要とされていた。

 改訂審査基準ではこの考えを改め、例えば、特許の請求項が「成分Aを有効成分とする〇〇用ヨーグルト」「成分Aを有効成分とする〇〇用組成物」などとされ、公知の物と区別できないような場合であっても、その食品に見出された新たな機能を「新たな用途」として認める仕組みをつくる。

 これにより、欧米などと同様に、機能性を含めた食品の用途発明を巡る権利保護が可能になる見通し。同庁は、「食品の機能性に関する研究開発等を行う企業等における研究開発のインセンティブが高まる」と見ている。

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