栄養成分など取扱い検討 消費者庁が22日に検討会(2016.1.21)


 消費者庁は昨年4月に施行した機能性表示食品制度の積み残し課題の検討を開始する。今月22日に「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の初会合を開き、今後関係者ヒアリングなども行いつつ検討を進め、今秋を目途に報告書を取りまとめる予定だ。また課題検討だけでなく、制度運用に関する改善点などについても幅広く意見を聴く。

 検討会では、ビタミンやミネラルなどの栄養成分と、機能性関与成分が明確でない食品の取扱いについて、安全性の確保、機能性表示に係る科学的根拠の設定、適正な表示による消費者への情報提供の観点から検討を行う。いずれも、制度設計を議論した同庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」が2014年夏に取りまとめた報告書の中で、今後、更なる検討が必要とされて積み残した課題であり、昨年3月に閣議決定した消費者基本計画でも「施行後速やかに検討する」としていた。

 ただ、ビタミンやミネラルなどの栄養成分は、厚生労働省の食事摂取基準で科学的知見に基づき必要量などが設定されるなど、政府の健康・栄養政策に密接にかかわる。特に、摂取不足回避を目的にした「推定平均必要量」や、逆に一部の成分では過剰摂取の回避を目的に「耐容上限量」などが設定されており、同庁はこれら課題検討に当たってはこうした現行の健康・栄養政策を踏まえるともしている。

 また、検討会ではこれら課題検討のほか、制度の運用改善についても意見聴取する。制度は施行から9カ月が過ぎ一定期間が経過した。13日に会見した板東久美子長官は「幅広い方々が集まるので(委員から)指摘があれば受け止めていきたい」と語り、同庁からは具体的な改善点などの提示はせず、委員側から改善点を挙げてもらう方針を説明した。

 幅広く意見を聴くという目的もあってか、委員は学識経験者、消費者団体、産業界から計17名と、検討会としては人数が多い。前回の検討会委員も多くが参加するほか、新たに食事摂取基準策定の中心メンバーである佐々木敏氏(東京大学大学院教授)や、上原明氏(日本OTC医薬品協会副会長)が加わった。同協会はセルフメディケーションを推進しており、一昨年にはサプリメントの委員会も立ち上げた。さらに、量販店など販売を代表し、宗像守氏(日本チェーンドラッグストア協会事務総長)も加わった。座長は寺本民生氏(帝京大学臨床研究センター長)が就く。

 同制度を巡っては、エビデンスの質、食経験、安全性に関して疑義が寄せられる一方、業界からは病者データの活用やGMPによる品質管理などを求める声もある。

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