農産物活用へ向け研究進む 日本食の評価研究も(2016.2.11)
医療経済研究・社会保険福祉協会主催 第36回健康食品フォーラム
世界を見据えた日本の「食」をテーマにした「第36回健康食品フォーラム」(医療経済研究・社会保険福祉協会主催)が5日、東京・霞が関の全社協・瀬尾ホールで開催され、関係者など約120名が参加した。
農林水産省の西郷正道総括審議官など3氏による講演とパネルディスカッションが行われた。この中で西郷氏は、昨年4月施行の機能性表示食品制度の活用に向けた同省の農産物の機能性研究や、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食(日本食)」の研究状況について披露。機能性研究ではβ‐グルカン高含有で血糖の上昇抑制作用が期待できる大麦、脂質代謝改善作用に期待できるβ‐コングリシニン大豆、同じく脂質代謝改善に期待できるルチン含有のダッタンソバをヒトデータを用いて説明。ほかにもプロシアニジンを含むリンゴやケルセチン高含有タマネギの開発を紹介した。一方、農産物は産地や収穫時期で関与成分量が違うため、これら課題解決に向けた検討も進めていると語った。
日本食については、西郷氏に続いて講演した京都大学大学院教授の松村康生氏が詳細を説明。同じく健康な食事として知名度が高い「地中海食」に比べ日本食はエビデンスに乏しく、海外への情報発信を目的に科学的な研究が欠かせないと語ったほか、農水省がバックアップするプロジェクト研究(「医学・栄養学との連携による日本食の評価」研究戦略)が行われるこの2~3年で一定の成果を挙げたいと意気込んだ。なお、プロジェクトでは1975年(昭和50年)の日本食を基準にすることを確認。歴史や科学的知見を踏まえた将来像、臨床栄養学的検証、おいしさの科学的検証、運動機能への影響などの研究を進めていることを明かした。
【写真=講師によるパネルディスカッション(2月5日、東京・千代田区)】