公知貿易、VK2に着手 海外有力会社と連携(2013.10.24)
原料商社の㈱公知貿易が天然ビタミンK2の販売に乗り出した。海外の専業会社との間で日本国内独占販売契約を締結し、骨粗しょう症予防効果に関して大規模二重盲検臨床試験に伴うエビデンスデータも揃えている。ドリンク類向け原料の供給準備も進めており、抗ロコモティブシンドローム対応食品に幅広く配合していきたい考えだ。
新機軸の「結晶化MK7」
取り扱いを開始したのは、ヒヨコ豆を原材料にして発酵生産するVK2‐メナキノン7(MK7)を98%以上にまで精製し結晶化した上で、パウダー、オイル、水溶液の各種製剤に仕上げたもの。結晶化MK7含有量はいずれも1000~2000ppm以上で、「メナQ7クリスタル」の製品名で販売する。
このうち水溶液については、製品中MK7の安定性が16カ月間保たれることが確認されている。また、これを配合した飲料を同社が初めて試作し、濁りなどは認められなかったという。
同社によると、VK2MK7を結晶化するという技術は従来なかったもの。これにより、①MK7以外のメナキノンはほぼ含まないようにできる②最終製品の製造工程を簡略化できる③少量添加で製品化できる──などとしている。
開発したのはノルウェーのナットーファーマ社。天然VK2MK7専業会社として2004年に設立されたバイオベンチャーで、08年にオスロ証券取引所に上場した後、13年には米ニュージャージにも販売拠点を設立。心臓血管の健康維持、動脈硬化予防、骨の再石灰化促進など、VK2含有食品に関わる重要特許を複数保有しながら、欧米のサプリメント市場を中心に天然VK2を売り込んでいる。
ナットー社と独占契約
公知貿易との契約は昨年締結していた。このほど来日した、ナットーファーマの技術開発部門を率いるヴラドミール・バドマエフ氏によると、「天然VK2の世界市場規模は約20㌧。(近年になり)年間20%ずつ成長している」。
このうち、「メナQ7クリスタル」の販売量は約5㌧であり、「早い段階で10㌧に引き上げたい」という。
一方、「メナQ7」の摂取に伴う骨粗しょう症予防作用については今年3月、骨関連医学雑誌「オステオポロシス・インターナショナル」に研究論文が掲載された。
それによると、「メナQ7」摂取群はプラセボ群に比べて骨の劣化が有意に遅くなったほか、骨量・骨質ともに劣化が抑制されていた。また、高齢者で骨折頻度が高い大腿骨頸部についても、劣化を有意に抑制するなどしたという。
この研究は、VK研究で知られるオランダ・マーストリヒト大学の研究グループが、閉経後女性224名を被験者にした二重盲検臨床試験を、約33年にわたり実施したもの。「メナQ7」群の1日当たり摂取量は180マイクロ㌘だった。この量についてバドマエフ氏は、「これまでのビタミンK研究において、最も少ない摂取量で効果を示した最初の例」だと話している。