実行可能性の確保が課題 原産地表示拡大へ議論
(2016.2.11)
加工食品の原料原産地表示の対象拡大などを検討する、消費者庁と農林水産省の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」の初会合が1月29日に開催された。昨年4月の食品表示法施行やTPP(環太平パートナーシップ)協定による今後の食品輸入増加を見越し、消費者の食品選択における適切な情報提供の観点から検討を進め、今秋にも中間とりまとめを行うことにしている。
加工食品の原料原産地表示は2001年以降、徐々に義務表示対象を増やし、現在、乾燥きのこ類や緑茶、もち、こんにゃくなどの22食品群と、うなぎ蒲焼やかつお削り節など個別4品目が義務表示対象になっている。このほか、事業者などが任意で表示に取組むところもある。一方、生鮮食品では原産地、輸入品は原産国名が義務表示対象になっている。
原料原産地表示の拡大は、農水省と厚生労働省所管時代からの懸案事項であり、厚労省から消費者庁に移管後も検討されてきたが、結局、結論は得られず先送りされてきた。だが、昨年3月に閣議決定された消費者基本計画や同11月に政府が決定したTPP政策大綱で、実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討するとの方向性が示され、食品表示法も施行され、改めて検討の場が設けられることになった。
検討会では現行制度の取組みを検証し、そのうえで表示拡大に向けた具体的な方策検討を進めていく。また、その際の参考として、消費者庁では消費者意向調査、農水省では事業者聞き取り調査を別途実施、秋には一定の方向性を示す中間取りまとめを行う方針だ。
この日の会合では、消費者への情報提供の観点から、義務表示対象食品の拡大を主張する委員がいる一方、安易な拡大はコスト増につながることや、原産地表示は食品の安全性とは関係がないとの主張する委員もいた。
次回は3月1日に開催し、過去の検討における論点や課題などについて説明が行われ、本格的な議論に入る。
【写真=初会合の様子。当日は松本内閣府副大臣、齋藤農水副大臣が出席した(1月29日、東京・中央区)】