機能性のデータの質で議論 消費者庁などリスコミ(2016.3.22)
「健康食品の安全性や機能性に関する意見交換会」(消費者庁、厚生労働省、農林水産省主催)が17日、東京で開催され、約200名が参加した。昨年4月に創設された機能性表示食品制度や健康食品の安全利用について、国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏の講演のほか、各省庁の取組みについて担当官が説明した。
後半には梅垣氏や各省庁の担当官、消費者団体、業界団体が参加してパネルディスカッションが行われた。この中では機能性表示食品の科学的根拠の質が届出ごとに幅がある点が話題に。消費者庁食品表示企画課の清野富久江課長補佐は「現在調査事業で機能性表示食品として届出されている科学的根拠のシステマティック・レビューの検証を行っている。同様に今後安全性についても検証する必要があると考えている」と、検証の必要性を指摘。健康食品産業協議会の関口洋一氏は、かつて同庁の委託事業で行った「食品の機能性評価モデル事業」で検討したことを引き合いに「システマティック・レビューの内容を客観的に伝えるのはかなり難しい」と語った。NACSの戸部依子氏は安全性について客観的なデータを求めたが、「(データの質を)厳格にしても利用する側は人それぞれ。今の時点ではいわゆる健康食品との境界ができた点を評価したい」と語り、機能性表示食品制度の創設自体に一定の評価を与えた。
ただ、梅垣氏からは「機能性表示食品も最終製品の試験データが出ているが、特定保健用食品(トクホ)で申請しても恐らく通らない。消費者はお金も時間もかけてしっかりした製品を望むが、トクホとの違いを理解してもらわないと、トクホは無くなってしまう」との懸念が伝えられた。