消費者庁消費者調査を先行 第三者認証は関与否定(2013.8.8)
消費者庁は、6月に閣議決定された成長戦略(日本再興戦略)や規制改革実施計画に盛り込まれた、健康食品の機能性表示を可能とする仕組みづくりについて、今年度中に消費者調査を実施するほか、制度検討にあたっては有識者からの意見を聞きながら進めていく方針を明らかにした。実際の制度実施は、規制改革実施計画や消費者基本計画にもある通り、来年度中を目指す。
同庁は制度検討に先行するかたちで、今年度中に「消費者調査」を実施する。調査では「日本の一般的な消費者が、表示をどのように読み取るのか、また誤認するかを調べたい」(食品表示企画課)としており、同庁が主眼を置く消費者誤認の防止に向けた知見収集が主目的になるようだ。
一方、制度検討については「有識者から幅広く意見を聞く。内部で決めることはない」(同)という。同庁は成長戦略の記載内容にある通り、米国ダイエタリーサプリメント制度を参考に、事業者責任で機能性を表示する制度を目指しており、このため、制度検討は科学的根拠レベルの検討や安全性の確保が焦点になるとみられる。科学的根拠レベルについては、6月に開催された講演会で同庁担当官から、RCT(ランダム化比較試験)などヒトでのエビデンスが必要になるとの見解が示されている。さらに、制度検討にあたっては、景品表示法など表示が関わる法令との調整も必要になるとみられる。もっとも、今のところ具体的なものは固まっておらず、実際に検討会などの場を設けるのか、また検討の開始時期も今年度か来年度以降になるのかも決まっていないのが現状だ。
一方、業界団体などが求める第三者認証については、6月20日の衆議院「消費者問題に関する特別委員会」で、森まさこ消費者及び食品安全担当大臣の答弁を引用するかたちで、「第三者認証は諸外国で例がなく、また(食品機能について)評価基準を設定して認証するのは非常に難しい」(同)として、国が第三者認証機関の認定やガイドラインを示すことは否定した。
一方で、森大臣は「新たな機能性表示制度のもと、業界等が機能性評価の客観性を高めるために自主的にそういった機関等を組織して、表示や広告の適正化を進めていくことは、むしろ望ましい」
とも答弁しており、制度発足後に民間による第三者機関の設置については否定しなかった。日本健康・栄養食品協会など、民間の第三者認証に道が閉ざされたわけではない。