義務化対象拡大へ意見 原料原産地表示検討(2016.3.10)
農林水産省と消費者庁共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」が1日に開かれ、過去の検討経緯の説明や委員からの意見陳述などが行われた。
意見陳述は消費者団体3名と生産団体3名の委員が行った。消費者団体からは、消費者基本計画などで明示した義務対象食品の拡大に向けた前向きな議論を求めたほか、農水省と厚生労働省の共同会議が2003年の報告書で示した、義務対象食品の選定2要件が拡大の弊害になっているとして、これの見直しを求めた。このほか、産地が頻繁に替わる食品やトレースが難しい中間加工原料などに対応するため、切り替えの可能性がある産地の列挙や、国産や外国産といった大括り表示の可能性を検討するよう求めた。
生産団体からは、輸入が増加している果物加工品や海苔を義務表示対象にすることや、JA全農が任意で行っている原産地情報開示の取り組みが紹介された。
なお、この日の会合では事務局から過去の検討における論点として①表示の目的②国際整合性③表示対象品目④任意表示⑤実行可能性――5点が示され、これについても意見が交わされた。この中で、国際整合性を巡り「コーデックス委員会でもルール化していない」と懸念する意見に対し、消費者庁食品表示企画課の赤崎暢彦課長は「(現行の国内制度は)WTOを通じ加盟国に通報しており、国際整合性は担保されているものと思っている」と、障害にはならないとの認識を示した。
【写真=団体からの意見を聞き取る1日の検討会(東京・千代田区)】