適正利用へ改善求める 消費者委調査会がとりまとめ(2016.3.24)
特定保健用食品(トクホ)制度や健康食品の広告表示の問題などについて検討してきた消費者委員会の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」(寺本民生座長・帝京大学臨床研究センター長)は16日、報告書の取りまとめを行った。最終報告書は親委員会に報告、議論を経て同委の提言や意見として関係省庁に対応を求めることになる。同委への報告は4月以降になる見通し。
調査会報告書はトクホを含む健康食品の表示広告と、トクホ制度・運用に分けて記述。表示広告では、有効性や安全性が担保されていない健康食品の淘汰を目的に、健康増進法に不実証広告規制を導入することや、誇大表示を禁じる同法31条の判断基準明確化や、同条文にある「著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない」の〝著しく〟の削除を求める。これにより表示広告に合理的な根拠のない健康食品を監視指導をしやすくする。トクホも言い切り型のキャッチコピーが消費者の誤認を招くとして、確認されている効果を超える効果を類推させる表示の禁止などを指導要領に明記するよう求めることにした。
事業者や業界団体の取組みにも触れ、日本健康・栄養食品協会が行っているトクホ広告審査で指摘を受けた事業者に対し是正状況のフォローアップを実施するなど取組み強化や、景品表示法に基づき消費者庁と業界が協議のうえ広告自主基準を策定する、公正競争規約を設けるなどの工夫に期待した。
一方、トクホ制度や運用では、許可から年数が経つ製品を対象に、試験水準の変化などに対応するよう再審査要件の見直しの検討や、定期的な収去調査の実施を求める。さらに、規格基準型の適用範囲の拡大のため、定期的に検討する仕組みを確立すべきとした。だが、作用機序が曖昧な条件付トクホは、機能性表示食品制度が導入されたことを踏まえ、トクホの一形態として存在する必要があるか検討を求める。
トクホ製品情報の公開義務化、消費者や専門家向けの情報提供の充実なども求める。