機能性農産物 届出へ 農研機構が研究成果を発表(2016.3.24)
健康維持・増進に役立つ農林水産物やその加工食品の開発を推進する目的で、平成24年度補正予算20億円を投じ、25年度から3年間実施された研究事業「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」について、事業実施主体の農研機構食品総合研究所は18日、都内で研究成果発表会を開いた。プロジェクトは、ヒト介入試験による機能性エビデンスの取得が目的の一つ。現在、論文投稿を進めているほか、企業を通じて機能性表示食品としての届出も順次行う。
実施した研究は、機能性を持つ農林水産物・加工食品の開発をめぐる11課題をはじめ食品の健康機能性に関するデータベースの構築、機能性弁当のヒト介入試験など合計16課題。発表会では、「特に顕著な成果が出ている」課題から、「βクリプトキサンチンの抗メタボ効果に着目した柑橘及びその加工食品の開発」「脂質代謝改善作用を持つ高カテキン緑茶及びその加工食品開発」など計8課題の研究成果を紹介した。
カテキン(メチル化カテキン)については、すでに機能性関与成分として届出受理されているが、プロジェクトでは、新たに脂質代謝改善作用を検証するヒト介入試験を2つ実施。今後、アサヒ飲料や森永製菓が機能性表示食品として届出を行う計画だという。
一方、今年度中の開設が予定されている食品の健康機能性に関するデータベースには、同プロジェクトで扱われた機能性成分など計9成分のシステマティックレビュー結果が掲載される。機能性食品を届け出るために活用してもらうもので、9成分にはルテイン(ホウレンソウ)、DHA・EPA(魚)、βコングリシニン(大豆)、プロシアニン(リンゴ)などが含まれる見通し。