景表法違反で相次ぎ措置 課徴金制度を1日施行(2016.4.7)


 消費者庁は景品表示法に基づく課徴金制度を1日施行した。今後、不当表示(優良誤認表示、有利誤認表示)を行った事業者に対し、期間3年を上限に対象商品や役務の売上額3%の課徴金納付を命令できる。同庁は今年、3月31日までに健康食品販売会社など7社に対して景表法に基づく措置命令を実施。同法以外の健康食品関連法規である特定商取引法や健康増進法に基づく行政処分も相次いで下している。

 課徴金制度では課徴金額が150万円(売上額として5000万円)未満の場合は賦課しない。違反事業者が「相当の注意を怠った者ではないと認められる」場合も同様だ。また、不当表示を自ら認め自主的に消費者に返金した場合は、その分を減額する措置を設けた。ただ、1商品当たりの売上依存度が高い場合は課徴金などが高額になる可能性がある。

 一方、同庁は3月30日、黒酢食品を摂取するだけで著しい痩身効果を得られるかのような広告表示を自社ウェブサイトで行っていたのは景表法違反(優良誤認)に当たるなどとして、健康食品通販㈱えがおに対し再発防止などを求める措置命令を行った。

 えがおは昨年5月、事前の聞き取り調査を受けて表示を自主的に変更し、一部に不適切な表示が見つかったため広告表示を訂正したとするお詫びをホームページに掲載。広告管理や関連法規に関する社内教育の強化など再発防止に向けた体制づくりも自主的に進めていた。

 また同社は、毎日10分間程度の定期的な運動と黒酢食品の摂取の併用による体脂肪の減少作用や、エネルギー代謝に及ぼす効果を報告するプラセボ対照臨床試験論文を発表している。だが、問題とされた表示では、当該商品の摂取のみによる効果を表示していると判断されたようだ。消費者庁によれば、同社は主力商品「えがおの黒酢」について、13年3月から昨年5月末にかけ、「人より効果が出にくい私。最初からアミノ酸を使ってたら…」「『黒酢』に含まれたアミノ酸のメラメラパワー!」などと一部で表示していた。

 ダイエット関連機能に関する健康食品の広告表示をめぐり消費者庁が14年6月以降15年末までに下した措置命令は7件にも及ぶ。14年6月はそれまでに痩身効果を標ぼうする表示に対し措置命令を行った事例から、問題となった広告表現を整理し消費者に注意を促すパンフレットを作成しており、同庁は特にこういったダイエットや痩身といった表示に対する規制を強めていると見て取れる。

 疾患を予防する効果が得られるかのような広告表示を食品や清涼飲料水で行っていた先に措置命令を行う事例も複数ある。3月31日には、自社ウェブサイトの商品紹介ページにリンクさせたページで、ガンやアルツハイマー病など疾病の予防効果などを表示していたのは優良誤認に当たるとて、ココナッツオイルを販売していたココナッツジャパン㈱に対し、違反事実の周知や再発防止などを命じた。商品紹介ページのリンク先にさらにリンクを張り、そのページで疾病予防効果などを表示していた事例で、それら全体を広告とみなし不当表示と判断したのは、食品の不当表示を所管する同庁表示対策課食品表示対策室が設置された13年7月以降初めてとなる。

 また、同庁は3月に入り、健康食品や特定保健用食品を販売していた大手企業を相手に、特商法や健増法の違反で立て続けに行政処分を下してもいる。特商法に関しては政府が今国会に提出した特商法改正案において、業務停止命令の期間を最長2年に伸ばすことや、執行力強化など悪質な事業者対策を盛り込んだ。また健増法では、同法が規定する食品の虚偽誇大表示の禁止に関する執行権限が4月1日から都道府県に委譲されたほか、同庁は食品のインターネット表示監視業務を強化する方針を示している。

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