ガイドライン一部改正 機能性表示制度が中規模変化(2016.4.7)
制度創設2年目を迎えた機能性表示食品制度について消費者庁は、届出ガイドラインを一部改正し、1日、施行した。同日から届出データベースの運用もスタートさせており、機能性表示食品の届出は今後、オンライン手続が取られることになる。これらに合わせて昨年6月および9月発出の「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項」および「確認事項」も一部改正。また、1日には食品表示基準に基づく「製造所固有記号制度」を施行、これに伴う食品表示基準の一部改正も行った。
改正に不満の声も
機能性表示食品の届出ガイドライン一部改正では、届け出る食品や機能性関与成分について、食薬区分の専ら医薬リストに「含まれるものではないことを確認」するよう追記。加えて、食品衛生法(昭和22年法律第233号)に抵触しないかどうか、特定保健用食品としての安全性審査が行われているかどうかを「届出者の可能な範囲において情報を収集」した上で、「評価する」よう求める追記が行われた。
これらは「資料作成に当たっての考え方」のうち「安全性に係る事項」の中に新たに書き加えられている。
トクホの安全性審査に関する言及については、消費者団体の要望に応じたものと見られる。食品安全委員会が「安全性を評価できない」などと無責任な判断を下したトクホの関与成分と同じ機能性関与成分を配合した機能性表示食品の届出を、消費者庁が受理したことに強く反発していた経緯がある。
ただ、「届出者の可能な範囲での情報収集」という書きぶりは曖昧さが残る。「可能な範囲」をめぐる混乱が今後起きる可能性もありそうだ。
一方、業界が注目したのは食薬区分に関する考え方が初めて盛り込まれたことだった。1日に改正された「機能性表示食品の届出書作成に当たっての確認事項」にも同様の項目が追加。これにより、専ら医薬リストに収載されている成分は、機能性関与成分名として事実上使用できないことが明確になったといえる。
業界関係者からは、「不満足」だとして納得できないとする意見も聞かれる。
改正届出ガイドラインではこのほか、届出資料の作成に当たり確認事項がある場合は、「消費者庁食品表示企画課まで相談されたい」などと追記した。ガイドラインの読み方をめぐっては、特に不適切な機能性表示の解釈に関して以前から混乱が見られており、同庁には真摯な対応が求められそうだ。
なお、消費者庁が業界団体主催セミナーなどで昨年来提示している「不適切な表示例」は、改正ガイドラインに反映されなかった。「可能な機能性表示の範囲」に関する書きぶりについては旧ガイドラインから変更はない。1日改正の「確認事項」「留意事項」についても同様で、同庁が示す不適切表示例の位置づけは曖昧なままとなっている。
詳細公表は前日夜
機能性表示食品の届出データベースの導入に伴い、届出方法は従来の郵送からオンライン手続に変更された。ただ、届出マニュアルが公開されたのは、改正届出ガイドラインとともに運用開始前日の3月31日夜10時ごろ。マニュアルは196ページにも及ぶ長大なものだった。
届出のオンライン手続を行うためには、事前に届出者の基本情報の届出を郵送で行い、受理された上で、システムにログインするためのユーザーIDを取得する必要がある。このため、4日までに届出をオンラインで行えた事業者はいなかったと見られる。
また、届出情報を、機能性関与成分名や表示しようとする機能性などからキーワード検索できる届出データベースの閲覧も、6日現在のところ出来ない状態だ。同庁によれば、昨年度に届け出られた情報をデータベースに移行中のためだという。
届出のオンライン化に伴い、これまで多かったとされる記入漏れなど些細な書類不備が減る可能性がありそうだ。マニュアルによれば、入力漏れや入力制限事項から外れた処理をしている場合は送信前にエラーメッセージが表示されるという。
一方、昨年度中に届け出た書類が4月1日以降に差し戻された場合、修正書類を提出するには改めてオンライン届出が必要になるとしている。
ガイドラインの一部改正や届出データベースの導入に伴い、届出様式も変更された。