景表法 健増法の留意事項を改定へ 消費者庁が原案(2016.4.21)
消費者庁は20日、健康食品の虚偽誇大表示の禁止に関する考えや具体例を示した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の改定原案をまとめた。「いわゆる健康食品」のみだった例示を特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品などの保健機能食品も含めた健康食品全般に広げて名称も変更。ただ、法的な解釈に変更はないという。5月20日まで意見募集したあと、必要な修正を行い6月中に公表する。
消費者委員会の建議を受けて2013年12月に策定された現行の留意事項は廃止される。
今回の改定では、現行の留意事項と同様、具体例を多く挙げて分かりやすさや事業者の予見可能性を高めることに配慮した点は同じ。ただ、対象を保健機能食品にまで拡げ、それぞれ個別に虚偽誇大表示に当たる表現例を示したほか、これまでイラストなどを使って紹介していた表示例を廃し、実態に即した広告例を示して説明してある。
個別の例示では、トクホでも許可を受けた表示内容を超える表示は不当表示に当たることや、試験結果グラフの不適切な表示例などを挙げた。機能性表示食品は、届出内容を超える表示やトクホと誤認される表示、さらに、表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いている場合などに分けて例を示した。
また、事業者自らが表示の合理的根拠を示さなければ不当表示とみなす、不実証広告に基づく過去の措置命令案件で、同庁が合理的な根拠と認めなかった事例を初めて紹介した。事例には、ウェブサイト上の情報などをまとめただけで学術文献ではなかったものや、ヒト試験であっても被験者の選定が恣意的であったり、動物実験データで、ヒトへの有効性を実証するものではなかったものを挙げた。
解説/根拠ない健康食品淘汰の一環
消費者庁が示した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の改定原案は、消費者委員会が12日に建議した健康増進法の誇大表示の範囲明確化など制度改善要求の一部を満たすものとなった。
今回の改定は、もともと健増法31条で規定する虚偽誇大表示の禁止に係る事業者への勧告や勧告に従わない場合の措置命令の権限を都道府県へ移譲するのに合わせた関係指針の改正などとセットで行われており、同委の建議とは直接関係がない。ただ、同委が求めているとおり、虚偽誇大広告等の規制強化や、有効性や安全性の根拠がない健康食品の淘汰の流れは本格的だといって良く、こうした健康食品を販売する事業者は退場が求められているといえる。
また、トクホや機能性表示食品であっても、行き過ぎた広告表示が規制対象になることを、改めて認識させる意味でも今回の改定の意味は大きい。制度発足わずか1年の機能性表示食品制度は、業界待望の制度でもあり、いま傷がつく訳にはいかない。