ドーピング禁止物質検出が波紋 JHFAマーク付 日健栄協が情報収集(2016.4.25)
日本自転車競技連盟(JCF)が2011年から公式スポンサー契約を結び、加盟選手らが商品提供を受けていた㈱梅丹本舗の「古式梅肉エキス」など2商品から、海外で行われたスクリーニングテストの結果、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が定める禁止物質である通称「ボルジオン」が検出された問題が波紋を広げている。検出量はごく微量だと同社は説明しているが、同成分はタンパク同化ステロイドの一種。ドーピングでは筋肉増強の目的で用いられる。
日本健康・栄養食品協会は22日、当該商品が認定健康食品(JHFA)マーク表示であったため、関係者からの情報収集を始めたことを明らかにした。「詳細が判明次第改めてお知らせする」という。ボルジオンは天然にも存在する成分とされるが、日健栄協には、同成分が梅肉エキス中から検出された背景調査も求められそうだ。
また、日健栄協と同じ公益財団法人の日本アンチ・ドーピング機構(JADA)も思わぬ火の粉を被っている。JADAでは、食品や飲料について、審査の上で禁止物質が含まれないことを承認する「認定商品」の仕組みを用意。ただ、梅丹本舗は、21日に行った記者会見で、審査が受けられなかった旨を明らかにしたためだ。
そもそも日本国内には、少なくとも企業からの食品や飲料中ドーピング禁止物質分析依頼に応じられる機関や企業は事実上存在しない。同社によれば、JCFとの契約前からJADAで審査される必要性を認識していたものの、審査を受けるには「JADAへの加盟が必須条件とされていたが、当時、新規募集は行っていないと回答された」ため、審査を受けられなかったという。
JADAのウェブサイトによれば、認定商品は現在5社202商品。広報担当者によれば、認定を受けるには、JADAが設けたスポンサーシッププログラムを契約する必要がある。その「二次的サービス」(広報担当者)として審査を実施し、禁止物質が含まれないことが確認されれば、認定商品として認定マークを付与。契約するには「安くはない」費用が必要だとしている。
JADAはこの仕組みを10年以上前から運用しており、「(新規の契約先は)現在も受け付けている」(同)。ただ、「制度の見直しを行っていたため、受け付けていなかった時期は確かにある」とコメント、その時期については「回答できるか確認を取る」とし、梅丹本舗が審査を受けられなかったとする時期と一致するかどうかの回答を避けた。受け付けを再開したのは昨年のことだという。