機能性大麦 「1000t動かすビジネスに」 帝人(2016.4.21)
年内を目途に健食業界参入を表明している㈱帝人(大阪市中央区)は13日、レジスタントスターチを豊富に含む機能性大麦を用いた整腸作用に関する臨床研究成果発表会を開いた。その席で同社の新規食品事業に関わる妹脊和男ヘルス機能性食品プロジェクトリーダーは、市場導入時期への明言は避けたが、「素材として1000㌧ぐらい動かすビジネスにしたい」と事業化に向けての展望を明かした。
帝人は昨年2月に、豪州の食品ベンチャーのヘルシー・グレイン社が取り扱う機能性大麦「バーリー・マックス」について、日本における独占協同開発契約を締結、機能性研究とともに各イベントで同素材を紹介するなどし市場分析を進めていた。いまだ正式な市場投入はしていないものの、現在複数の食品メーカーと商品化に向け協議を進めているという。
当日は、同社が扱う機能性大麦「バーリー・マックス」を共同で臨床研究した帝京平成大学の健康メディカル学部の松井輝明教授も出席し、腸内環境研究の現状から説明した。メタゲノム解析による腸内細菌叢の発酵基質となる食物繊維と、その産生物としての短鎖脂肪酸が重要な役割を持つとし、腸内劣化を防ぐためにも機能性大麦に含まれるレジスタントスターチを大腸の奥まで届けさせることで有害物質産生菌を抑制し、腸内環境を修復できるとした。
また同大麦の整腸効果について、摂取することで排便回数が有意に改善し、排便量についても同大麦を1日12㌘の摂取で有効に働くと説明した。さらに腸内フローラの解析でも、日和見菌であるプロボテラの分布比率が増え、レジスタントスターチをはじめとした食物繊維が関与していることが示唆されるとした。
同社では、〝大腸の奥の健康を考える情報サイト「大腸ラボ」を11日に開設。同サイトでは、①大腸の奥の健康について②スーパー大麦 バーリー・マックス③研究レポートの3つのコンテンツで構成。腸内フローラをベースに、腸内の善玉菌にエサを与えて活発化させるプレバイオティクスの役割と、それに関わる大腸の奥から炎症を抑えることの重要性を解説する。また同大麦を用いた整腸効果や血糖値上昇抑制効果などの研究成果を紹介していく。
【写真=帝京平成大・松井輝明教授(写真左)、帝人・妹背和男氏(4月13日、東京・千代田区)】